思うこと
1999年4月15日(木) 晴れ
ちょっと仕事にゆとりができたと思ったら、途端に仕事系の飲みばかりが続いてちょっと飲み疲れ。
僕としては、オフの余韻に浸りつつあちこちの日記を巡って夜更かししたいところなのに、なかなかうまいこといかない。
で、2日ほど適当に仕事を切り上げて飲んでたら、あっという間にまた忙しい日々が戻ってきてしまい、二日分のつけを払うために残業など。ううむ。
--
さて、閑話休題。
ここ数日はずいぶんと春も本格的という暖かさで、昼間営業で歩き回るには最高の季節である(あ、また仕事絡みか)。
で、昨日のことだが、昼過ぎに僕は会社を出て、JR総武線に乗り込んで新宿にあるクライアントへと向かっていた。昼過ぎの車内はすいていて、のんびりとした空気が漂っている。
僕は太陽を背にしてシートに腰を下ろし、読みかけの宮部みゆきの小説に視線を落とした。
小説は、すごく事件の核心へと近付きつつあるところで、本を開いた瞬間にどっぷりと小説の世界に浸るはずだったのだが、僕ははっきりと違和感を感じた。それも一瞬のうちに。小説を読むどころではないのだ、と。
違和感の原因を探るべく僕は小説から視線を上げた。そして瞬時に納得した。何故僕が小説を読むことを無意識のうちに躊躇したかということを。
向かいに座った女の子のパンツが見えているのだ。それもクッキリと、ハッキリと。
それだけではない。向かいに座った女の子の白のパンツに目を奪われつつも更に僕は自分を駆り立てる何かを感じ、ふと視線を白パンツの女の子の左隣の女の子へと移した。
隣の子のパンツも見えているではないか。
僕は軽い眩暈を感じた。さんさんと降り注ぐ春の陽射しを浴びて、眩いほどに白く輝く二つのパンツ。それもご丁寧にお二人とも生足なのだから、もうこれは困ってしまう。
予想外の展開に思わず二人のパンツ女から視線を外すと、一人目の女の子の右側に座っているさらに別の女の子。一瞬僕は自分の目を疑った。そう。
右隣の女の子のパンツまで見える。ピンクだ。
いや、これは決して虚構でも妄想でもない。妖怪の仕業でも怪しい探偵の所為でもない。まぎれもない現実なのだ。暖かい春の昼下がりに、総武線の先頭車両で僕は3人の女の子がずらりとパンツを見せて座っている真向かいに座っているのだ。これはもう小説どころではない。
念のため書いておくが、僕は決して自分から不自然な体勢をとって女の子の股間を覗き込んでいたわけではない。ごく普通に電車に乗り込み、ごく普通にシートに腰掛けていただけだ。
ではいったい何故3人もの若くてそこそこにかわいらしい女の子が偶然3人も並んでパンツを披露することになったのか。彼女達自身のファッションにその原因を見つけることができた。
彼女達はいずれも二十歳前後で、いずれも今はやりの上げ底のブーツを履き、ニットのミニスカートを纏っていたのだ。上げ底ブーツで通常よりも膝下が10センチ近くも長くなったため、彼女達のひざ上は通常よりもかなり上向きになっており、向かい側に座った人間の視線と丁度重なってしまう角度になっているのだ。
さらに補足するならば、僕の向かいに座っていた女性達は、自分たちの膝が通常よりも10センチも高くなっているという事実がもたらす現実を正確には把握していない。つまり、まさか自分のパンツが見えてしまうなどとは思っていないのだ。それにちゃんとバッグを腿の上に置いているから、通常の膝の高さなら絶対に向かいに座った人間にパンツを披露するなどということはないのだ。したがってガードが甘い。ぴったりと脚を閉じていないから、閉じていても見えてしまうパンツがさらに一層ハッキリとクッキリと見えてしまうという結果を招いてしまうのだ。
ちらりと一瞬見えたりすると何とも暖かい気持ちになったりするパンツではあるが、市ケ谷から新宿まで延々と3人見えっぱなしというのは僕を何とも落ち着かない気持ちにさせた。「お嬢さん、パンツ見えてますよ。それも思い切り。3人並んで」と、つい生真面目な顔でアドバイスしてあげたくなってしまったりもするのだが、もちろんそんなことはできない。
結局は小説に目を落とし、全然集中できずにまたちらっと視線を上げては相変わらずそこに咲き誇るパンツ3輪を見てはどぎまぎして再び本に目を落とす、というアホなことを繰り返しているうちに、電車はのろのろと新宿駅へと到着した。
僕と前後して3人の女の子達も席を立った。できるだけさりげなく彼女達の立ち姿を確認してみたが、それほど短いスカートを履いてはいなかった。やはり底上げブーツのせいで、通常では起こりえないパンツ3連発が現実のものとなったのだ。
僕は電車を降りると、まっすぐ階段へは向かわずにホームでタバコを一本吸った。そして無意識のうちに深い溜息をついていた。東京のもったりとした春の空気が、僕の首筋をするりとかすめて通り過ぎていった。
--
オフ用の伝言板は当分このまま置いておきます。
(c) T. Tachibana. All Rights Reserved. 無断転載を禁じます。tachiba@gol.com
(c) T. Tachibana. All Rights Reserved. 無断転載を禁じます。tachiba@gol.com