思うこと


1999年5月29日(土) はれ

秋田出張最終日。

昨夜はいくらなんでも飲み過ぎたようで、目覚ましで起きるとまだ酒が思い切り残っている。世間一般の「二日酔い」とは違って気持ち悪くはないのだが、フラフラしていかにも酒が残ってるという感じ。こんなの久し振りだ。東京のニナに電話。昨夜電話しなかったことを謝ると、「電話くれたよ」とのこと。まったく覚えていません。ううむ、これまた久し振り。

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PowerBookのメイラの中には、誰に宛てて書こうとしていたのかさっぱり分からない不明なメイルが一通。誰に向けたものかは結局分からなかったけど、とりあえず送らなくて良かった良かった。

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電車に乗って秋田駅まで。朝方は雲が多かったが、どんどん天気がよくなっていく。うふふと笑いたくなるような展開。体中に残っていたアルコールも少しずつ抜け始める。しめしめ。

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駅ビルの中のドトールで黒ちゃんと再会。東京では何度か会ってるけど、秋田で会うのは1年半ぶりぐらい。「顔が赤いよ」と指摘される。

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りゅうか君とも合流して、男鹿半島へとドライブなど。空はどんどん晴れ渡り、絶好のドライブ日和。車の窓を開けておくと乾いて涼しい風がどんどん入ってきてもう最高。東京みたいにベタベタした風じゃないから、冷房はぜんぜん必要ない。

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これだけ盛大に晴れてしまえば、いくら日本海と言えどもちっとも悲しそうじゃない。キラキラと銀色や金色に輝く水面を眺めつつ、車中の話題はやはり日記のこととか日記書きのこととか。ええい、いいのかこれで。いやいいのでしょう。

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うに丼食べたりボーッと海を眺めたりして過ごす。不意に「ああ、会社辞めたいなあ」などと泣き言の一つも言ってみたり。ネジを思い切り弛めて溜まっていた「しこり」を海に流す。

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後ろの席でボソボソと面白いことを言い続けるりゅうか君。男っぽい運転で颯爽と海辺を流す黒ちゃん。

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秋田までもしっかりTELくれたLIONさん。ああマメ過ぎます素晴らしいです。角館で今度騒ぎましょう是非一緒に。

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駅まで戻ってビール一杯飲んだら、もう新幹線に乗る時間に。楽しい時間はアッという間に過ぎるもの。お土産買ってもらって改札まで見送ってもらって新幹線に乗り込む。次回は角館で温泉オフじゃ。約束だよ。

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夕暮れを見ながら発車した新幹線が東京駅のフォームに滑り込んだころには時計は既に真夜中に近づこうとしていた。いつも通りしっかり肌に纏わり付いてべた付く空気を鬱陶しく感じつつも、緩みきった体が少しだけ引き締まったような気がして、やや残念。

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家に着いたらもう時計は零時近かった。ニナにただいまーと言ってスーツを脱ぎ捨て、あぐらをかいてバーボンを飲み干すと、ようやく家に着いたんだな、と実感。ニナはすっかり元気を取り戻していて、たくさん喋っていた。

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眠る前、新幹線の車窓から見た秋田の夕暮がふいに目に浮かび、まだ体が向こうにいたがっていることを実感する。

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せっかくなので黒ちゃんの日記について一言。今日車の中で話題になっていたことなんだけど。

黒の白黒という日記は、ものすごく「うねり」を持った日記だと思う。グルーヴ感があるというとちょっと軽い感じだけど、近い言葉に置き換えればそんな感じだ。

どちらかと言えば悪文だと思う。すっきり簡潔に纏まっているわけではない。でも、もの凄くインパクトがある文がガツンガツンとぶつかり合って「黒の白黒」は出来ている。

ここにいるよ、にちょっとだけ似たグルーヴ感(もちろん細かい部分は全然違うんだけど)があって、癖の強い黒ちゃん自身のキャラを見事に映し出しているように思う。

酔っ払ってうねってたり、落ち込んでうねってたりとその表情は様々なのだが、この「うねり」というのは狙って出せるものではないから、彼女自身の才能というか能力というか、そういうものなんだと僕は思っている。

やたらとインパクトが強くてうねりのある黒の白黒、これからもうねりまくって書いて欲しいと思う。


 

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