思うこと
1999年8月15日(日) くもり のち 雨
南の島旅行記、今日で第三回(旅行は二日目)。前の回は、このページの一番下の←から戻ってください(手抜き)。--
朝7時過ぎ、部屋の電話(これが今どきなかなかお目にかかれないようなクリーム色のダイアルのついてない内線専用電話。受話器を上げると自動的に旅館の人々のいるところ(ホテルで言うフロント)に繋がるというヤツね)がビービーと鳴る。本当にビービーとけたたましく鳴る。寝ぼけマナコで受話器を取ると、「朝食ですよー」という若女将の明るい声。そうか、朝食か。
食堂(というか居間だな正確には)に降りていって朝食を頂く。いわゆる日本旅館の朝食。ご飯が美味しい。味噌汁も美味しい。きっと水がいいからなんだろうとぼんやり考えながらゆっくりと咀嚼し呑み込む。我々の他にも何組か宿泊客がいることが判明した。
朝食を終えて一旦部屋に戻る。窓の外はどんよりと曇り。今すぐ雨が降りだすぞ、というほどの曇り具合でもないが、もうすぐ雲が切れて晴れ間が覗くぞ、というほどの曇り具合でもない。難しいところだ。
宿から一番近い浜までは歩いて2、3分というところだから、とりあえず水着に着替えて出かけてしまおうか、などとニナと相談しつつもう一度ゴロンと布団に横になったら、次の瞬間には二人とも眠っていた。ああ、仕事の疲れが溜まっている。真夜中過ぎまで働いたしなあ。
というわけで、のっけからのお昼寝タイム。
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我々の泊まっている永田の牧旅館、旅館の人々が部屋に押し掛けてきて布団を上げるということをまったくしない。だから我々の安らかなお昼寝タイムは、誰にも邪魔されることなく延々と続くことになる。
途中2度ほど目が覚めた。最初に目が覚めた時は、窓の外にうっすらと陽が射していた。「ああしまった、外は晴れているじゃあないか。すぐに水着に着替えて浜に出なくては」と思いつつまた目をつぶる。次に目が覚めた時には、窓の外は大粒の雨だった。「なんだ土砂降りの雨が降っているじゃあないか。さっき慌てて外に飛びださなくて大正解だな」と思いまた目を閉じる。
で、結局我々がゴソゴソと起き出したのは何と午後2時。初日から何をやってるんだか、と皆さん思うだろうが、僕としては、「あー疲れがちょっと取れたような気がするぞ、体もだいぶ軽くなった」という感じでなかなか御機嫌だった。
で、外は相変わらずのどんよりとした曇り空。時折雨が混じる。とりあえず必要なものを買い揃えようということになり、車を出すことに。宿のある路地を出ると、窓の外はすぐに永田のいなか浜である。ここはウミガメの産卵地として有名なところで、今の時期は丁度ウミガメの卵が孵化して子ガメが海に向かう時期なのだそうだ。是非帰るまでに見ておかなければなるまい>子ガメ。
車を小一時間走らせ、昨日上陸した安房に到着。そこでレンタカーの期間延長の手続きをし(車なしではどこにも行けないので滞在中ずっと借りることにした)、それから今来た道を戻りつつ、大きなスーパー「Some's」であれこれと買い物。浮き輪だの敷物だの水だのソーダ水だの。屋久島には水は二種類しかない。どちらも地元産のもの「屋久島縄文水」の1.5リットルのペットボトルを購入。
安房を出て30分ほどで、島で一番大きな地区、宮之浦に着く。ここなら色々と用が足りそうだねなどと話しつつ、さらに北上を続ける。途中に大浦温泉などという温泉があることも確認。
宮之浦と永田の丁度中間地点ぐらいに、一湊(いっそうと読む)の海岸がある。ここはちょっとした入り江みたいになっていて、外海の屋久島にしては波が穏やか。でもこんな雨まじりの日に、泳いでいる人はいない。でも曇りでも海は驚くほどキレイで、これで晴れたらいったいどうなるんだ、と
妄想期待を抱かずにはいられない。相変わらずほとんど車が走っていないメインストリートをグングン走り、夕方遅くなって宿に戻る。部屋に入ってちょろっとくつろぐ。部屋は我々が出かけた時とまったく変化していない。掃除をした形跡もなければ、シーツを代えた形跡もない。そういう宿なんだなと納得してみる。
この宿のお風呂は男女では分かれてなくて、大きいお風呂と小さいお風呂に分かれている。今日は小さい方のお風呂しか用意していないと言われ、狭いお風呂に入る(昨日は大きい方だった)。何でだろうと思いつつ夕食の席に着き、今夜の泊まり客が我々しかいないということを発見し、なるほどと思う。若女将の一人息子とおぼしき幼児が入口脇のソファーのところで「もののけ姫」に見入っていた。ちなみに「もののけ姫」の背景は、屋久島の山並がモデルになってるって、皆さん知ってた?(僕は知らなかった)。
夕食は今日も豪華。7品ぐらいは出る。豚肉も美味しいし、魚も美味しい。屋久島は飛び魚と鯖の名産地なんだそうだ。
軽くビールを飲んでから、これまた屋久島名産の焼酎、「三岳」(みたけ)をロックで頂く。ちょっと癖があるが、その癖がいい方に作用していてすごく美味しい。ロックで二杯頂いて、ちょっといい気分になり、氷をぺール一杯もらって部屋でバーボンソーダを飲み、相変わらずの耳が痛くなるほどの静寂に包まれて眠る。
眠る前に携帯から天気予報を聞いてみた。明日も明後日も、「雨」という予報(泣)。
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