秋の夜長に 思うこと 自閉編
1999年9月23日(木) 晴れ
昨夜はニナが買ってきてくれたバーボンを飲みつつ、2時過ぎまで布団の中でギャーギャー笑い転げていた。今思えば、何がそんなに可笑しかったんだろうという感じなのだが、昨日はとにかく可笑しくて仕方がなかったのだ。おかげで今朝はちょっと寝坊。10時過ぎに目覚める。8時ぐらいから断続的に目覚めていて、カーテン越しにクッキリとした青空が見えてはいたのだが、眠気には勝てず、たっぷり睡眠を補充。ああ、幸せ幸せ。涼しいと、いつまででも眠っていられるな。
ごそごそと起き出して、窓を全開にすると、ひんやりとした空気が部屋にどっと流れ込んできて、これがまた徹底的に気持ちがいい。あんまり気持ちがいいので、もう一度布団に戻り、ひんやりした空気の中でわざわざ毛布にくるまってみたり(LIONさんならきっとこの気持ち、分かってくれると思う)。
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午前中は日記読みなど。昨日の夜は酔っ払ってて日記ほとんど読めなかったからね。
最近、また日記読み熱が高まってきている。夏前から8月ぐらいまでは全然やる気がなくて、一日5本ぐらいしか読んでない時期もあったのだが、最近はまた毎日40〜50本ぐらいは読んでるんじゃないかな。こういう周期ってなんなんだろう、と前から考えてはいるのだが、つきつめるほどのことでもないような気もするので、ちょびっと考えて止めてしまう。少なくとも、仕事の忙しさとはあまり関係ないような気がするのだが。
あと、ニナのお父さんが林檎を送ってくれた。真っ赤な津軽が山ほど。しばらくは林檎三昧だな。台風18号の進路が東北に向かっているのがひどく気になる。あの7、8年前の台風19号にそっくりな進路だしね。また林檎が落ちなければいいが。
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午前中はそんなこんなでのんびり過ごし、昼から行動開始。行動開始、というほど大袈裟なものではなくて、近所の中華屋にご飯を食べに。ニナは五目焼きそば、僕は五目チャーハン。ここのチャーハンは、僕の中では吉祥寺の「大龍門」と並んで、世界一だと思っている。今日も美味い美味い。
で、おなかが一杯になって、ものすごく天気もいいし、ちょっと長めの散歩でも、ということになる。15分ほど歩いてからバスに乗り、武蔵境の駅に出て、そこから更に狛江駅行きのバスに乗り、調布の飛行場まで行ってみる。
学生時代に調布の飛行場近くに友人が住んでいて、2、3回車で送ってきたり、迎えに来たりしたことがあったんだけど、その時に通り掛かった片側一車線のバス通りが、もう物凄く素敵で幻想的でちょっとだけ「限りなく透明に近いブルー」的で、今でも記憶にはっきりと残っているんだけど、どこの何という通りだったか、という方はすっかり忘れてしまっていて(大馬鹿ものですな)、以前から地図を眺めたり、タクシーの運ちゃんに質問してみたりして、恐らく調布の「天文台通り」ではなかろうか、というアタリをつけていた、というわけ。
狛江行きのバスに乗り込み、国立天文台を過ぎ、飛行場も過ぎたが、それらしい道には出あえないまま。確かに天文台周辺は鬱蒼とした林になっていてかなりいい感じではあるのだが、あの明け方の幻想的な雰囲気とは程遠いという感じ。甲州街道にぶつかるあたりまで行ってバスを降り、しばらく西に向かって甲州街道を歩いてみた。甲州街道には、「東京オリンピック マラソン折返し地点」なんて標識が出ていたり、2002年のサッカーワールドカップに向けて、サッカースタジアムを建設中だったり。
15分ぐらい歩いてから、ちょっとわき道に入ってみたが、やっぱりそれらしい道には辿り着けず。養護学校だの特別養護老人ホームだのが林立する地区をてくてくと歩き、調布の飛行場に止まっている小型飛行機を眺めてみたり。
そろそろ喉も渇いたし、歩き疲れても来たので、今回は諦めて来た道をまた帰る。途中コンビニで地図を広げてみたが、それらしい道は、やっぱり天文台通りしかないんだよなあ。この10年間に急激に開発されたのか。それともあれは真夏の夜明け前のごく短い時間に通ったために感じた特殊な状況だったせいなのか。ああ、何とかもう一度、あの視界が全て蒼く染まり、両側が夏草という状況に出あいたかったのだけれども(場所が分かったら明け方に車で乗り付けようと思っていた)。
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このまま帰るのはちょっともったいない感じだったので、さっきの狛江行きのバスに再び乗り込み、調布を通って終点まで。
狛江から小田急線の各駅停車に乗り込む。狛江の駅が、高架駅でしかも複々線化されていて、ビックリたまげる。成城学園から梅ヶ丘にかけての高架工事にもビックリ。子供のころに一時期小田急線には毎週乗っていたのだが、もうそのころの風景なんて全部ブッ飛んでしまうぐらい様子が変わっていて、ちょっと寂しかった。この前久し振りに東横線に乗って、僕の通っていた高校のある武蔵小杉を通り掛かったときも、駅が高架になり、複々線化されかかっていて、12年前の面影がまったくなくなっていてひどく寂しかったのだが、それに近い感じを受ける。まあ、まったく他人事的な感傷で電車の混雑が緩和されるわけでもないので、仕方がないのだけど、感傷に浸るのに金はかからないから、思う存分浸らせてもらう。
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代々木上原で千代田線に乗り換え、乃木坂で降りる。久々に故郷六本木に帰ってきた。昼間、しかも乃木坂側を歩くのは、何カ月ぶりだろう。青山墓地に沿って歩く。お彼岸だから、お線香の匂いがあちこちから漂ってくる。青山墓地というのは、墓地としてはもう「老人」的なもので、もう10年以上は新規の募集はしていないはず。少しずつ少しずつ、お墓の手入れをする人が少なくなり、無縁墓地や荒れた墓が増えてきている、というニュースを聞いたことがある。10年ぐらい前かもうちょっと前に、青山の真ん中にあんなにも広大な墓地があるというのは無駄だから、移転させようという動きもあったようだが、結局まとまらなかった。あそこに墓地がなくなってしまって全部がビルになったら、本当に息が詰まってしまうように思う。
墓地下まで歩き、久々のかおたんラーメン。ノーマルのラーメンに僕は味付けたまごをプラス、餃子と味付もやし、それにビール。実はここ最近、このかおたんラーメンが食べたくて食べたくて、本当に夢に見てしまうほどだったのだ。かおたん(高湯)という独特のスープと硬くて太い麺が特徴、というか、それが全て。僕が日本で一番美味いと信じているラーメン。まだ食べたことない方で興味のある方、是非是非ためしてみてくださいな。絶対美味い、信じられないぐらい美味い。圧倒的に美味い。
店員同士が早口でまくし立てる中国語と、トタンの屋根、ボロボロのメニュー。ほんのちょっとだけ、「不夜城」みたいな雰囲気、というのはちょっと大袈裟かな。でも今日も感動するぐらい美味かった。あああああ、幸せだ。今度、「かおたんラーメンオフ」なんてやったら、みんなくるかしら(笑)。
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すっかり幸せな気分になり、西麻布から六本木へ向かう。途中、今年の春に倒産した老舗の和菓子屋、「和泉や」の前を通る。店内の喫茶室のテーブルにはメニューやナプキン立てがそのまま残り、窓にはある日突然従業員全員を解雇して破産宣告した三代目のオーナー社長とその息子の専務を告発するビラがベタベタと貼られていた。ショーウィンドウの中には贈答用の和菓子のサンプルが並んだまま、観葉植物は鉢に入れられたまま立ち枯れし、創業からの看板も、店に掛かったまま。倒産したのが今年の3月のはずだから、もう半年以上放置されたままなのか。閉店したまま放置されている店舗が、最近六本木や西麻布ではやたらと目に付く。バブルの頃のあのギンギンさに較べると、ほとんど灯が消えたような状態。ううむ、これもまた寂しい。僕の実家がもうないのはもっと寂しい。イヤだなあ。
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六本木のWAVEでニナがCDを買い、都バスで渋谷へ。渋谷から別のバスに乗り換えて帰ってこようかと思ったのだが、あまり我が家方面に向かう、いい感じのバスがなかったので、諦めて井の頭線に乗って吉祥寺へ。吉祥寺からさらにバスに乗り換えて、ようやく我が家へ。
ちょっと散歩という気分で出かけたわりには、やたらと長い距離を移動したなあ。携帯も定期入れも、時計も持たずに出た長距離散歩だったけど、すごく楽しかった。今回は我が家から見て南側ばかりだったから、今度は北側の、多摩湖とか狭山とか、あの辺に行ってみたいな。
ニナのお父さんが送ってくれた津軽を、二人で食べた。美味しかった。
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今日の体重:93.6キロ(今月の目標:91.0キロ)←(ダイエット決意時の体重は96.4キロ)
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