思うこと


2000年4月24日(月) 晴れ のち 雨


Things I See, No Hate Made

あたふたCD第三弾

--

はぁ。

昨日のK-1の凄かったこと凄かったこと。本当は夜にもう一度速報版として結果をアップしようと思っていたのだが、あまりにも壮絶な試合に、僕もニナもグッタリしてしまい、更新どころではなかったのだよ。

では、昨日僕自身がたてた予想も併せて、試合結果を。

第一試合
アーネスト・ホースト(オランダ)vsサム・グレコ(オーストラリア)(予想:ホーストのKO勝ち)

結果:3R終了時、ホーストのTKO勝ち。

やっぱりホーストの方が一枚上手だった。グレコはローキックとブーメランフックで良く責めたが、適確にローを打ち続けるホーストに、徐々に追い詰められ、3R終了間際にホーストにひざ頭へのローを決められ、ラウンド終了後に試合放棄という形に。

試合中の怪我によるストップが非常に多いグレコだが、またしても怪我に泣いた。しかし、ちょっとうがった見方をすると、本当はグレコはまだ試合を続行できたのではないか、という気がする。あれ以上続けても、ホーストはひたすらローを蹴り続けるだろうし、そうするとダメージの溜まっている脚を本当に痛めてしまう可能性が高く、そうなると夏から始まるグランプリ大会に影響が出る。そう判断したグレコが、試合を捨てた。そんな気がしてならない。

第二試合
ステファン・レコ(ドイツ)vsジャビット・バイラミ(スイス)(予想:レコのKO勝ち)

結果:レコの判定勝ち。

シュアにパンチと蹴りを繰り出すレコに対し、バイラミはそれほど強くないローをレコの左右の脚に当てるだけで、攻撃らしい攻撃はなし。これはバイラミの過去の闘い方とまったく同じ。ただ、レコは終始攻め続けながらも、決定的な場面を作ることができない。バイラミは長身と長いリーチを駆使してレコの攻撃を吸収してしまう。これもバイラミの今までの闘い方と同じ。お互いダウンを奪うこともなく、判定に。

ジャッジ3名の判定は、30-30のドローが一名、30-27でレコが二名。判定の基準がジャッジ間で統一されていないような気がした。これは去年の佐竹vs武蔵の試合でも大揉めに揉めたことなので、是非とも主催者側は、ジャッジ間のコンセンサスをとっておくべきだろう。

第三試合
ロイド・ヴァン・ダム(オランダ)vsサミール・ベナゾーズ(オランダ)(予想:サミールの判定勝ち)

結果:ヴァン・ダムの判定勝ち。

昨日の予想で、『ヴァン・ダムのローは重そうだが、他に魅力がない』と書いたのだが、そのローがガンガンベナゾーズに決まってしまう。ベナゾーズもパンチで応酬したが、2Rにはヴァン・ダムの攻撃を受けてフラフラの状態に。3-0の判定で、ヴァン・ダムの勝利。ベナゾーズは今日敗北すれば、K-1から撤退と試合前に言っていたそうで、今後の去就が気になる。僕は個人的に、非常に気に入っている選手なので、撤退などと言わずに、是非またグランプリ地区大会に参加してもらいたい。

第四試合
ピーター・アーツ(オランダ)vsレイ・セフォー(ニュージーランド)(予想:アーツのKO勝ち)

結果:3R、アーツのKO勝ち。

アーツの圧勝を予想したものの、心の中では、「いや、セフォーがそのままずるずると負けるはずがない」と密かに期待していたのだが、蓋を開けてみると、文字どおりアーツの圧勝。1Rからどんどん攻めていくアーツと、自分の距離に入れないセフォー。アーツはセフォーの奥足へのローキックを連発し、セフォーのダメージが蓄積されていく。結局セフォーが観客を湧かせることは一度もないまま、アーツの奥足へのローでセフォーはダウンし、そのままKO負け。

K-1参戦以来、常に期待され続けているレイ・セフォーだが、ここ一年間、ほとんど試合で勝っていない。背が小さいことと、必殺技がないことが、最大の問題だと思う。背はどうしようもないことだから、確実に相手にダメージを与えられる必殺技を身に付けることと、相手のローキックをブロックする技術を身に付けないと、今後もなかなか勝てないと思う。余談だが、アーツのお腹に全然贅肉がなくて、とても驚いた。

第五試合
グラウベ・フェイトーザ(ブラジル)vsアンディ・フグ(スイス)(予想:グラウベのKO勝ち)

結果:アンディの判定勝ち。

僕は一つの懸けをしていた。試合前の入場シーンで、グラウベが極悪な顔をして入場してきたら、グラウベの勝ち。一昨年のベルナルド戦や佐竹戦の時のように、緊張しておどおどした顔をして入ってきたら、アンディの勝ち、と。極真大会の時のグラウベは、自信に満ち溢れ、フジテレビが「人間凶器」と名付けるのも頷けるような凄みを感じさせるのだが、K-1では過去まったくいいところが出ていない。

で、今回の入場シーン。空手着姿で入場するグラウベの視線は泳ぎ、深呼吸を何度も繰り返しながら入って来た。「ああ、これはアンディの勝ちだ」と確信。試合は思った通り、アンディのペースで進む。グラウベはブラジリアン・キックや膝蹴りを連発するが、自信がないせいか、キレが全くなく、ガードしていないアンディの首筋にキックが決まってもアンディは身じろぎ一つしない状態。後半は両者ともスタミナ切れで失速気味だったが、それでも攻め続けたのはアンディで、判定も3-0、しかも30-27が二人、30-28が一人の圧勝。

極真の磯部師範のコメントで、「グラウベに集中力がない」とあったが、まさにその通り。ミスターK-1の称されるアンディに対し、集中力で負けてしまっては、グラウベに勝ち目はなかった。それにしても、今年のアンディは、すごく充実しているなあ。

第六試合
フランシスコ・フィリオ(ブラジル)vsジェロム・レ・バンナ(フランス)(予想:フィリオのKO勝ち)

結果:バンナの1R、KO勝ち。

どちらのパンチも、一発当たれば相手は失神という、凄まじい腕力同士の試合。極真世界王者になったフィリオと、アーツを失神KOしたバンナの、まさに旬同士の闘い。

試合は間合地獄戦で始まる。両者とも睨みあい、小刻みに体を動かしつつ、距離と間合いを探り続ける。お互いに何発か単発の攻撃をするものの、じっと相手を見合ったまま、緊張感がどんどん高まっていく。1ラウンド2分、フィリオをロープ際に追い詰めたバンナが仕掛けると、それを返そうとしたフィリオが後ろにバランスを崩し、そのフィリオの右顎めがけてバンナの120キロの体重が全て乗った左ストレートが決まる。一撃でフィリオは吹っ飛び、サードロープに首を引っ掛けたまま俯せに倒れ失神、痙攣。リング下で構えるハンドカメラの目の前に吹っ飛んでいったため、失神したフィリオの顔が画面に大写しになる。放送席の藤原紀香の絶叫、石井館長の「ダメだダメだダメだ」という叫び、目を見開いたまま、大きく痙攣するフィリオの体、ロープに上り、自らの左の二の腕にキスするバンナの笑顔、静まり返る観客席。

フィリオが負けたのは、体勢が崩れた時に両手のガードが極端に下がってしまったからだ、と論理的には言える。でも、今回の試合に限っては、技術的な部分に優劣があったのではなく、そういう巡り合わせで試合が進んでしまった、ということなんだと僕は思っている。

間合地獄に誘ったのはフィリオだ。バンナは「よく見ていく」という作戦もあって、フィリオの間合戦につきあう形になった。フィリオはカウンターを狙って篭城戦を選んだのだが、打ち合わず、距離を探り制空権を争う1分半ほどの時間で、バンナの集中力が異常に高まっていたと僕は思う。フィリオを失神させたバンナの左ストレートは、バンナが1分半の時間ラッシュした場合のパンチの威力が蓄積され合計され、まさにここしかない、というタイミングで打ちだされた。極真世界王者フィリオの浅黒い体は、まるで枯れ木の枝に引っ掛かるビニール袋のように、サードロープに首を引っ掛けたまま痙攣し、試合はそのまま終わった。

フィリオは試合後立ち上がったが、意識が朦朧としていて、小さな痙攣が続いているとのことで、CTスキャンの検査をドクターは薦めていた。試合後のセレモニーで、コーナーに呆然と立ったまま、涙を流すフィリオの顔が焼き付いて、これを書いている今も、失神している彼の顔と共に、モニタに浮かんできてしまう。

バンナはこれで、K-1最強のピーター・アーツ、そして極真世界王者のフランシスコ・フィリオを連破したことになる。今年からK-1は世界進出を本格化させており、今年の大会にはもうワンマッチ形式の試合は予定されていない。K-1グランプリは参加人数が100名を越える大きな大会になり、すでにオーストラリアとイギリスで予選大会が行なわれている。従って、バンナもフィリオも、次の試合はK-1グランプリ2000の、ブロック大会一回戦ということになる。バンナは自分でも言っている通り、トーナメント向きの選手ではないと思う。目の前の試合で全力を出し切り、後のことは考えないというスタイルだ。トーナメント地区大会の一回戦で、バンナの対戦相手が誰になるのかは、まだ分からないが、相手は、相当の覚悟をして試合に挑まないと、凄惨な結果を招きかねない。

一方のフィリオは、これでK-1三敗目。負けた相手はホースト、ベルナルド、そしてバンナ。そのうちベルナルドとバンナ戦がKO負け。やっぱりフィリオの場合は、ラッシュ力の強いキックボクサーに弱い。空手出身で顔面攻撃に慣れていないので、どうしても両手のガードが下がってしまう。試合が縺れていない時にはそれなりに守っているのだが、自分がバランスを崩したり、相手に攻め込まれると、どうしても腕が下がる。試合には勝ったが、アーツからダウンを取られた時も、自分が蹴りに行ってバランスを崩して両手が肩より下がっている状態でパンチを貰っている。今後フィリオが復活するためには、ガードをしっかりするか、それとも、アーツやバンナみたいに、ガードなんかしないでも勝っちゃう、ぐらいの圧力を身に付けるかの、どちらかになるんだろう。

ああ、それにしても、凄い試合だった。フィリオは勝ち方も負け方も、本当に派手だ。頑張れフィリオ。

--

さて、日記だ日記だ。

5時15分起床。ジョギング、2.5キロを21分。まだまだ走れそうなのだが、とりあえず今週は毎日走ることを目標にしているので、距離を抑えておくことに。今朝は寒くて、Tシャツ一枚では辛かった。

--

仕事がずいぶん忙しい。忙しいけれども、バタバタはしていないので、気分はいい。仕事は、正道でするという大前提を忘れないことが、一番大事なんだと思う。

--

今日の体重:89.2キロ(12月23日スタート時95.8キロ)、今日の体脂肪率:26.6パーセント(12月23日スタート時28.8パーセント)

--

伝言板

 


(c) T. Tachibana. All Rights Reserved. 無断転載を禁じます。tachiba@gol.com