パラオにて 思うこと     



昨日/明日

2001年11月15日(木) 5日目 晴れ


昨夜はRock Island Tourではしゃぎすぎ、クタクタに疲れていたため、夜の8時半に二人とも眠ってしまった。で、夜中の12時頃と朝6時の二回、目を覚ましてトイレに行ったが、最終的に起きたのは朝の7時。まあ、よくこんなに眠れるものである。よく食べよく遊びよく眠る、実に健康的である。

日課のメモ執筆。寝過ぎで頭がボーッとしてしまい、何度も書き間違える。書いている途中でニナも起きてきた。

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ホテルの朝食は飽きたし、まだお腹も減ってないということで、そのまま支度をして出かけることに。まずはResortの中のLogo Boutiqueでお土産を検分。ああ、もうお土産のことなんかを考える時期になったのだ、と、ちょっと切なくなってみたり。Logo BoutiqueでTシャツを買い込み、隣のDFSでクッキーを調達。どちらもなかなかかさばる。ニナもあれこれとお土産を買い込んだ結果、東京から持ってきた鞄には到底入りきらない状態になった。これは当初から予想されていたことで、ニナとも「鞄買おうか」と言っていたのだが、実際お土産を買ってみると、それなりに大きな鞄がないと、どうにもならないことがよく分かった。

で、DFSで鞄を見たのだが、これがなかなか強烈で、水色の地に花模様がびっしり描かれているものしかない。南国ですっかりふやけた頭をもって見ても強烈なんだから、これを東京に持っていったら目も当てられない。それぐらいはまだ判断能力が残っていたようだ。

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一度部屋に戻って荷物を置いてから、タクシーでダウンタウンへ。今日の運転手はNo.4の太っちょのおじさん。サイドビジネスでタイ式マッサージをやってるんだとのこと。PPRにも出張させるから使ってよ、と言って名刺をくれる。ニナはそれをじーっと見つめ、何やら物思いに耽っている。むむ、これはと思っていると、タクシー降りたら「わたし、これ頼んじゃおうかな」とのこと。おいおい。いくら平和なパラオとは言え、Resortの部屋に見ず知らずの外国人を入れるってのはどうかと思う、と説得。ホテルの紹介とかならまだしも、タクシー運転手経営の店である。何かあっては困る。ニナも一応納得してくれたようで何より。

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ダウンタウンである。我々は朝食を抜いたので、お昼には30分ほど早かったが、とりあえず食事をする。今日はRock Island Cafeで食べることに。店のガラスドアに、フィリピーノのウェイトレスがぴったり貼り付いて暇つぶしをしている。やたらと愛想がよろしい。

我々もだいぶパラオに慣れてきて、ぱっと見ると、この人はパラワンか、フィリピーノか、というのが分かるようになってきた。見分け方は簡単である。前にも書いたが、痩せてて色が浅いのがフィリピーノで、コロコロに太ってて、色が黒いのがパラワンである。フィリピーノ同士はタガログを喋っているし、パラワン同士はパラオ語を喋っているのだが、この区別がまだ着かない。何かしら典型的なフレーズを覚えれば、簡単に区別ができると思うのだが、まだ分からない。

Rock Island Cafeで、Red Roosterを一杯ずつと、僕はエッグバーガー、ニナはミートローフ。あとサラダのハーフサイズを一つ。ガイドブックには、Rock Island Cafeの料理はとにかく全部量が多いから注文する時には気をつけろ、と書いてあったが、出てきた料理は、まあ少なくはないが、びっくりするほど多いってほどでもなかった。PPRの中のCoconut Terrace Restaurantの方がずっと量は多い。というか、あれを見慣れてしまったので、ここの量に驚かないだけなのかもしれない。だとすると、ちょっとヤバイような気もするなあ。

店の中にテレビがあって、CNNが流れている。地元の人たちがCNNを眺めている。我が家で見るCNNと同じで(当たり前)、あの音楽が流れると何だかすごく不思議な気分になる。まさにWorld Wideということか。

店のトイレを借りたら、ボロボロなのだがとても清潔でいい気分になる。これは、どらごん亭もそうだったのだが、パラオのトイレは概してどこも清潔である。豪華ではもちろんないし、壁が崩れてレンガが見えてたり、ドアがギーギー言ったり、実にボロボロなのだが、全然臭くないし、汚れてもいない。これこそ、きれいなトイレの見本だと思ってしまう。日本でこういうタイプのトイレにはなかなか出会えない。こういうところが、パラオの隠れた魅力の一つだと思う。

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店を出て、ダウンタウンの中心に向かってぶらぶらと歩く。今日も暑いが、一昨日歩いた時ほど暑くはない。一昨日ハンバーガーを食べた、スタンドの前を通り過ぎる。「また来てねー」と言われてからまだ二日で、別の店でハンバーガー食べた直後というのはなかなか気まずいものである。幸い(?)、お姉さん達は仕事に夢中で我々に気がつかなかった。

WCTCの2階にある、Ben Franklinという、パラオ随一のショッピングセンターへ。実際でかい。店舗は1フロアーだけだが、やたらとだだっ広く、扱っている商品も、下着ありスポーツ用品あり自転車あり食器もありで、なかなかのものである。ここで鞄を買うことに。

日本に帰ってから、一泊や二泊の出張の時にも使えるようなもの、というコンセプトで、キャスター付のものを選ぶ。種類は限定されてしまい、かなり怪しい中国製のぺらぺらのものしかなかったが、一応こちらの注文通りのものが見つかった。

WCTCを出て、キャスター付の鞄をごろごろと引きずりながら歩いていると、ことごとくタクシーが寄ってくる。さっきまでは全然そんなことなかったのに。空港までとかの長距離客だと思い込んでいるようだ。なかなか目ざとい。

歩いてパレイシア・ホテルのDFSを覗く。僕はどうにもこのホテルが好きになれない。何とも成金趣味で、周囲との調和とかも全然考慮されていない。中途半端に豪華で、中途半端に安普請。宿泊がこのホテルだったら、パラオの魅力は半減してしまっただろう。PPRで本当に良かった。

DFSの従業員も何だか感じが悪い(これは多分に僕の思い込みもあると思う)。早々に引き上げる。フロントで電話を借りてタクシーを呼ぶ。ジェフのNo. 12が希望だが、ジェフが近くにいなければ他の人でもいい、と言ったら、残念ながら他の人が来た。No. 24のおじさん。

PPRに戻り、部屋に向かって歩いていたら、昨日一緒にツアーに行ったi夫妻の奥さんと会う。旦那は一人でダイビングに行ってしまったとのこと。

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昨日遊び過ぎたせいか、さっき飲んだビールが効いて、部屋に戻ったら何もしたくなくなってしまった。ニナはResortの中にある、マッサージに行くという。僕は部屋で本を読んで過ごすことに。

ニナが出ていって、5分ほどヘンリー・ミラーの「北回帰線」を読んだのだが、眠くなって中断。こちらに来てから初めてテレビを着けた。Cartoon NetworkとかCNNとか日本でもおなじみのチャンネルもあり、NHKの衛星も入る。昨日Rock Islandで日本人のおばちゃん達から、NYでまた飛行機が落ちた、と教えられたので、そのニュースを見ようとCNNとNHKに合わせたが、どちらもやっていなかった。

テレビパラオのチャンネルに合わせたら、いきなり桜庭和志の顔が大写しに。なんだなんだと驚いていると、Pride Grand Prixの、対ホイス・グレイシー戦の録画を放送していた。我々がこちらにやってくる一週間前に開催された、Pride 17には、アントニオ猪木に招待されて、パラオの大統領がリング上にあがり、挨拶をしていたから、その関係もあってPrideが盛んに紹介されているのだろう。どうでもいいことなのだが、パラオの大統領がPrideのリングに上がった時、場内から割れんばかりの「パラオコール」が起こったのは非常におかしかった。

何もパラオでPride見なくてもいいので、テレビをNHKに戻し、ベッドにダイブ。そのうちニュースをやるだろうなどと思いつつ、30分ほど眠る。眠っている間に、ルームサービスが来て、僕がぐっすり眠っていたため部屋の鍵を開けて中に入ろうとしていた。テレビの音がしたせいで、部屋の入り口でもう一度声を掛けてくれたので、僕もそれで目が覚めた。ジュニア・スイートには、毎日クッキーの差し入れがあり、それを持ってきてくれたのだが、びっくりした。きっと向こうもびっくりしただろう。ちなみにニュースは僕が眠っている間に終わってしまった。うとうとしながら何となく聞こえていて、あー、今ニュースやってるなあ、とは思ったのだが、内容は全然聞こえず。がっくり。

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ニナが戻ってきて、マッサージについて聞く。オイルマッサージで全身面倒見てもらってなかなか素敵だったようだ。僕だってマッサージには非常に興味があるが、ホテルとかの、いかにもエステっぽい場所にはやはり入り込みにくいよな。女の園って感じで。

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そうこうしていると4時である。夕日を眺めながら泳ぐ、という企画を実現するべく、ビーチへ。Pool Hutでシュノーケルとタオルを借りるついでに、またお兄ちゃんからパンをもらう。

今日は潮が思い切り満ちているのと、夕方で透明度が落ちているせいもあってか、あまり魚がたくさんいないし、いる魚の種類も違う。今までいつもたくさんいた、青くて動きの速い、タイみたいな体つきの魚は皆無で、ずんぐりした極彩色の魚が多かった。ニナは借りたシュノーケルのサイズが合わず、海水が入って非常に苦労していた。途中でPool Hutにシュノーケルを交換してもらいに行ったが、彼女のお気に入りのものは他の人に借りられてしまっていてなかったとのこと。

魚も少ないし、ニナはシュノーケルも合わないしということで、ガンガン泳ぐというよりは、ちゃぷちゃぷ遊ぶ程度にして、ビーチに寝転んだりして過ごす。徐々に太陽が西に傾き、なかなかいい感じである。ビーチでは、今夜もKing and Queen Dinnerの支度が始まっている。僕らの隣のデッキチェアにいた欧米人のカップルの女の子の方が、支度をしている様子を眺めに行って戻ってきて、男の方に「It's really King and Queen!」と言ったのがすごく可笑しくて、こちらから話しかける。昨日我々は見てたけど、本当に本当にKing and Queenだったよ、と。この女の子、ブロンドで背がすらっと高く、ビキニから覗く乳もなかなかでセクシーであった。

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夕暮れをしばらく眺めてから部屋に戻る。Pool Hutに道具とタオルを返しに行ったら、Pool Hutのお兄ちゃんが、ニナのお気に入りのシュノーケルをわざわざキープしておいてくれて、「今から部屋に持って帰っていいよ」なんて言ってくれる。「明日も来るんでしょ?」と。これは本当に嬉しかった。パラワンは決して愛想のいい人々ではないが、親身になってくれるし実に優しい。まあもちろんそうじゃない人もいるんだろうけど、全体的な印象として。

そうそう、このPool Hutのお兄ちゃんに、「どうして日本人なのにそんなに英語がうまいんだ」と聞かれた。毎日仕事で英語には触れているが、英語で会話は普段していないのだが、今年はやたらと外国人とコミュニケーションをとる機会が増えたせいで、調子がいいのだろう。そういえば夏にルアイにも褒められたな。褒められるとやはりなかなか気分がいいものである。

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部屋でシャワーを浴びてから、BBIバスに乗り込んで再びダウンタウンへ。僕らの他に、日本人のカップルが一組と同じく日本人の若い男が一人乗ってきたが、どちらも運転手に挨拶なし、会話なし、ひたすらぶすっと座っているだけである。なんだかちょっとがっかりする。恐らく英語が得意でないために、コミュニケーションの不全が起こっているのだが、せっかく南国のパラダイスに来ているんだから、そこまで仏頂面でいなくてもいいような気がする。パラワンもフィリピーノも挨拶すればすごく喜ぶし、こっちだっていい気分になるというものだ。東京で通勤バスに乗ってるんじゃないんだから。

で、バスを美登寿司で降りる。まことにどうでもいいことだが、「美登利寿司」とは一文字違いである。店に入ると、フィリピーノの従業員がワッと寄ってきて、「ここに座れ」だとか「おしぼりを使え」だとか「メニューはこれだ」とか「お奨めはこれだ」などと、大騒ぎでサービスしてくれる。僕は行ったことがないが、フィリピン・パブとは、こういう状態なのではないかと想像してみたくなる。

Red Roosterを注文したが、何とアサヒはあるがRed Roosterはないとのこと。ちょっとガッカリしたが、東京でフランス料理食べに行って、「ボルドーはあるけどメルシャンはない」と言われてるみたいなもんか(全然違うような気もするが)と納得し、アサヒビールを頂く。店の規模の割にやたらと従業員の数が多いので、ビールがちょっと減るとすぐにつぎ足しに来るし、何かと大騒ぎなのは、やっぱり何となくフィリピン・パブ的なのではないかと思われる。

ビールを飲みつつ、まずはお目当ての、「ナポレオン(フィッシュ)の薄造り」を注文。あと穴子の白焼き、それからキビナゴの天ぷら。ナポレオンはあっさりしていて非常に良い。ポン酢と実に合う。あのボーッとした体からは想像できない、なかなか繊細な味である。穴子の白焼きはニナの予想通り、生干しで日本から運ばれたものであった。おかみさんと板さんだけが日本人なのだが、ニナはおかみさんに「この穴子って生干しですよねー」とたたみかけていた。なかなかの度胸である。僕にはそういうクリティカルな質問はなかなかできない。きびなごの天ぷらは、何となくモコモコしていたが、味はまあまあか。

日本酒に切り替え(鬼ごろし)、伊勢エビの御造りを注文。伊勢エビが丸ごと一匹で$16である。これは日本じゃ考えられない安さ。正確には、伊勢エビじゃなくてロブスターの一種なんだけど、味はまるきり伊勢エビで、新鮮でぷりぷりしてて、最高でした。僕としては、今日の最高傑作はこの伊勢エビ。

おかみさんとあーだこーだとお喋りしながら日本酒をくいくい飲む。店のBGMは古い演歌である。従業員がフィリピーノじゃなかったら、どこかの地方都市で寿司を食ってるという雰囲気である。客はパラワンのおっちゃんが一人、日本人のおっちゃんが二人、日本人の若者のグループ、後からアメリカ人のカップル、という感じ。

続いて握ってもらう。鯵、ナポレオン、イカ、タコなど。鯵は日本の鯵とは全然違う。どちらかというと、ハマチに近いような感じ。図体が大きいからなんだろうと思う。

追加でかんぴょう巻、おしんこ巻、さらにパラオ巻なるものも注文。シャリが美味い。ガンガン飲んで、おかみさんと喋っていたら、お酒を一合サービスしてくれた。

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最後に入ってきたアメリカ人のカップル、キャッシュを全然持っていなくて、ちょっとした騒ぎになる。この店はクレジットカードもT/Cも不可。ドルか円のキャッシュだけである。パラオではそういう店も結構多く、カードは使えないと思ったほうがいい、などとガイドブックにも書いてあるのだが、この二人はキャッシュとT/Cしか持っていなかった。

店の入り口にも、壁にも、「No Credit Card」とか「No Personal Check」とかべたべた貼ってあるのだが、アメリカ人カップルの女性の方の言い分は、「我々は旅行者であり、旅行者はキャッシュなど持ち歩かないのである。我々が困らせないのが店の責任であるからして、何とかせい」ということである。この女性、アジア系というか日系で、顔だけ見てると日本人なのだが、論理展開は完全にアメリカ人である。日本人旅行者はなかなかここまで堂々と自分の過失を他人のせいにできない。

従業員が店の近くにあるという銀行のキャッシュコーナーに連れていったりしたのだが、結局キャッシュは引き出せず。店としては何がなんでもキャッシュ、ということで、男の方は「皿でも洗うか」とか言って笑っている。あくまでもカードが使えないのは店の過失なのである。僕も途中までは気になって聞いていたのだが、途中からだんだんばかばかしくなり、聞くのをやめてしまった。結局どこからかキャッシュが出てきて、ニコニコと帰っていったから(何故か彼らが出ていく時に握手なんかしてしまったぞ)、無事解決したのだろう。

最後にあがりが飲みたかったのだが、なんせここはパラオである。あがりは無料じゃない(多分一杯$2)。お金を払うほど飲みたくなかったのでそのまま〆。$132。伊勢エビ一匹食って、ナポレオンの薄造り食べて、日本酒を一人四合ぐらい飲んでこの値段は、日本の半額ぐらいか、もしかしたらもっと安いか。日本じゃナポレオンなんか食べられないから、単純な価格比較はできないが。

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店を出たら、歩道の敷石に、昨日Rock Island Tourで一緒だったi夫妻が仲良く腰掛けていた。あれー、どうしたんですかーと尋ねると、二人で居酒屋「tototo」に行ってきた所だとのこと。

3人で10分ほどバスを待つ。奥さんの方は、しきりにバスが我々に気づかずに通り過ぎてしまうのではないか、と心配していた。なかなか苦労の多い人生みたいだ。

バスは無事我々に気づいてくれた。で、バスに乗り込むと、やはり昨日のツアーで一緒だったoさんカップルが乗っていた。同じResortに泊まっているとはいえ、なかなかの偶然である。

帰りのバスの中で、街並みの写真を撮りまくる。ちなみに左の写真は居酒屋「さくら」。ここにも行ってみたかったのだが、今回は行けなかった。

バスは今まで一番の混雑。と言っても10人ぐらいなんだけどね。

PPRに着いてから、同じ年代のoカップルをプールサイドのバーに誘ったら、ニコニコ笑いながらついてきた。そうそう、やはり南国ではニコニコしなければいかん、ニコニコしなければ。

プールサイドのバーで4人で飲む。今日もここのバーはパラワンがたくさん。普通こういうリゾートの中のバーで地元民が飲んでるってのはあんまりないんだろうけど、パラオの場合は物価が日本とそんなに変わらないから、こういう芸当ができるんだろう。ここのバーは安いし。

o氏カップルとあれこれ話していると、あっという間にバーが閉店の時刻に。美登寿司で日本酒飲んだ後に、バーボンをロックでやっていたので、結構ふらふらに。ハンモックで遊んだり、猫と遊んだりしてから部屋に戻る。






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