あなたの温もり 思うこと  不明編




1996年12月25日(水)

Love...Thy Will be Done / Martika


外気に冷やされ曇った窓ガラス、


タバコとバーボンの残り香、


部屋の空気の冷たさと、


触れあうカラダの熱さ、


表通りを走る車の音、


射し込んでくる冬の朝の弱々しい光線、


髪の毛から漂う香り、


意識と無意識の中間で、


名前を呼び、


うなずくように再び眠りに落ちる。


静かな、


静かな朝、




Love will Tear us Apart / Joy Division


分離していく脈拍の強さに、


目を強く閉じたままカラダに力を入れてみる、


白く濁った世界が視界に開けると、


そこには海驢の群れと海牛の大群、


声が重なり大気が裂けて真空の世界に飛び込み、


熱く大きな波が来る、


飛び立つ姿を一目見ようと、


固く手を握ったまま、


なんとか離れないように、


歯を食いしばったまま、


意識が遠のいていく、


祈るように長い細い声を発しながら、


世界は回り、


海豹は眉間を噛み切る、






Scary Monsters (and Super Creeps) / David Bowie


吹き上げるジンの霧の中、


ミドリ色の髪を振り乱し、


叩き付けるように鍵盤を掻きむしり、


きしきしと歪む床の音とエレキバイオリンの織りなす不協和音に、


耳を塞いだまま涎を垂らし続ける、


引力に逆らうかのように屹立した乳房を革の下着で包み、


鋭く赤い舌を突きだしたまま、


弔いの呪いを叫び続ける、


深いジンの霧に視界を遮られ、


弔いの声とエレキバイオリンと神経性のピアノの音色の中を、


僕は笑ったまま、


ひきつるように踊り続ける、


片足を硬直させたまま、


射精し続ける。







Gouge Away / Pixies


髪を掻き毟り喉の奥から血が迸るような割れた声を出してみる、


指の先が鬱血しているような気がしてハサミで切裂いてみたいという衝動に駆られる、


だらしなく伸びた髭と一緒に顔の皮膚も剥いでしまいたいと願う、


目と目を見つめあったまま額を撃ち抜かれたいと妄想する、


鏡を粉々に叩き割ってその上をのたうち回りたいと欲する、


乱れるココロを静めるために当分呼吸をやめたいと思う。






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