春の麗らの 思うこと  繚乱編


1998年4月24日(金)

Back in the U.S.S.R. / The Beatles


昨日(4月23日)の日記はこちらに。



さて、出張二日目。

朝目が覚めると静かな雨が降り続いている。

秋田の雨と東京の雨は降り方が違う。これは前から思ってた。秋田の雨は東京の雨よりも粒が細かくて、小さな粒がたくさん降ってくる。柔らかくて静かな雨だ。

東京の雨はもっとバタバタした感じで、イマイチ落ち着かない。やっぱり気候の違いはあるらしい。

しばらく窓の外を眺めながらタバコを一服。その後簡単にシャワーを浴びて昨日の夜に買っておいたサンドイッチと缶コーヒーで朝食。食べてる間もふと、先日横浜のインターコンチで食べたブレックファストとかを思い出して何とも虚しくなる。

まあ出張のたびにあんな豪華なものを食べてたら破産してしまうのでその辺はさっさと頭の隅に追いやって簡単にシャワー。テレビのニュースを観ているとそろそろ出かける時刻に。タクシーで羽後本荘駅へ。

朝の本荘駅はいつも通り学生と出張のサラリーマンしかいない。学生の中に鼻や唇にピアスをしている団体を発見。うーむ、髪は金髪だしね、うっかりしたら東京の高校生たちよりもしっかりパンクスしてるかもね。

二両編成の電車がゴトゴトとやってくる。学生が一斉に乗り込んでくるからすごくうるさい。たむろする学生の中に、ホントに久し振りに発見しましたよ、短ランにリーゼントって男の子を。これは結構感動した。ここ数年どこに旅行に行ってもすっかりこの手のツッパリにはお目にかかれなかったもの。彼も一人でああいう格好をし続けるのって、結構度胸いるだろうな、偉いな、などと変な共感を覚えたりして。

窓の外は新緑が雨に濡れてすごく美しい。今年は異常に桜が早くて、この辺ではもう散ってしまっていた。

鳥海山の山頂付近にはまだたっぷりと雪が残っている。最上川は雪解け水で思い切り増水していたな。

雨に煙る日本海。どこまでが空でどこからが海なのか判別できず。でも海を眺めているとちょっとだけホッとするのはどうしてだろうか。

などと考えている間にさっさと象潟に到着。

さてさて、お仕事です。

Helter Skelter / The Beatles

仕事はまあ順調に進み、3時半頃に解放される。駅までのんびり歩き、電車を待つ。待合室には老人達と学生のみ。出張のサラリーマンも数人。

4時過ぎの普通列車で酒田へ。酒田から「いなほ」に乗継いで新潟へ。車内は閑散としていていつの間にかぐっすり眠ってしまった。海を眺められなかったのが残念。

新潟から上越新幹線に乗り換え。もうすっかり日が暮れている。

僕の前の席に長岡から乗り込んできた中年のバカサラリーマン二人組。結婚式帰りらしく両手に引き出物だの礼服だのを抱えて乗ってきた。網棚に乱暴に荷物を投げ込むが入りきらず、僕に断りもなく僕が乗せておいた荷物を思い切り乱暴に後ろにずらす。

汽車で旅行をしていると、時々厚顔無恥なアホ面オヤヂ達のやりたい放題に我慢ならないことがある。今日のもそう。思わず「人の荷物動かすときは声ぐらいかけて下さいよ」と苦情を言う。すると「あー、すみません」との返事。目をそらせたまま儀礼的なお返事にほんのちょびっと切れて後ろから思い切り椅子を蹴ってやった。その後はすっかり大人しくなって心地良く。

あと腹が立つのが、指定席に指定券を持たずに勝手に座り込んでる連中。一人とかで静かに座ってるのならば移動してもらえばすむのだが、6人とか10人とかの団体で、券も持たないくせに椅子の向きを変え、酒盛りを始めていたりする。床はつまみのサキイカだのナッツだのがこぼれていたり、酒をこぼしていたりで、灰皿にはたっぷりと吸い殻が投入されている。僕がチケットを持って現れ、すみません、と言うと、「悪いけどさ、どっかその辺の空いてるとこに座ってよ。俺達もうはじめちゃったからさ」みたいなことを言う。厚顔無恥とはまさにこのことだよな。ったく。

今回の出張ではこういうことはなかったけど、こういう連中が僕は大嫌い。自分たちだけ団体でやってきてワイワイ酒盛りをやって、周りの迷惑を全然考えてない。だいたいすっかりオヤヂの体温で生暖かくなってしまったシートに座ることさえ嫌なのに。まったくもう、もうちょっと大人しく旅をすることはできないのだろうか。

あ、そうそう、余談だけど一度笑えたというか呆れたというか、という光景に出会ったことがある。思い出したので書いちゃう。

僕は秋田に向かう特急に乗っていた。「いなほ」だったと思う。時刻は午前11時半過ぎ。通路を挟んで僕の隣には何やらテラテラした金のかかったダブルのスーツを着込んだ偉そうなオヤヂ。昼前になると、オヤヂはおもむろに車内販売のお姉ちゃんを呼び止めて、弁当を買い占めた。何をするんだろうと思って見ていると、周囲に座っている人達(中年の男性に限定されていたようだ)にその弁当をバラ撒き始めた。政治家だった。お茶と一緒に、なにやらバッグから取り出した封筒も一緒に添えられていた。一体何を配っていたのやら。

ブツブツ言っているうちにあっという間に新幹線は東京に到着。やっぱり夜の旅で新幹線は面白みが全然ないね。仕事だからしょうがないけどさ。

体がすっかりこってしまってほぐしたいので、中央線は座らずに立って帰ってきた。いつもより遠いバス停で降りて、レンタルビデオ屋とコンビニに寄って無事帰還。ふぃー。

バーボンを飲みながら、借りてきた映画を観ているうちに眠ってしまった。



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