木曜日の日記で、退社する部下の後任が決まらないと嘆いたところ、今日ようやく後任が決まった。独文学部卒のちょっと変わり者。社長に言わせると、「ミニミニ立花君て感じ」とのこと。どんなヤツなのか、今から楽しみだ。
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仕事の後、ニナと吉祥寺の「珍さんの店」へ。大混雑で一時間近く待たされる。が、やっぱりこの店の料理はめちゃめちゃ美味い。待ってる間はやたらと不機嫌になったりしたんだけど、席について料理が出てくると、ああ、待っても良かったと思わせてしまうところがすごい。特にチャーハンは絶品。
お腹がいっぱいになってから、駅前で最近お気に入りのディキシーのバンドの演奏を聞く。新メンバーのピアニカ奏者が加わって3人組になっていた。
演奏がいい感じで盛り上がってきたところで、駅前の交番の警官が二人やってきて、演奏をストップさせられる。酒が入っていたせいもあったとは思うが、無性に腹が立って警官を睨みつけてしまう。向こうも睨み返してきたけど。
せっかくの演奏が中途半端で終わってしまったので、もう少し飲み直そうかということになり、久し振りに「カーブじゃなくてケーブ」へと向かう。
僕はホワイトレディー、ホワイトラムのトニック割り、チェリーヒーリングのストレート。ニナはオールドパル、ソウルキッス、グレンリベットのストレート。やっぱりこの店の雰囲気はすごく好き。もっとちょくちょく遊びに来たいのだが、毎週二次会までやってたら破産してしまう。
帰宅後、ニナに脚のマッサージをしてもらっているうちに眠ってしまう。
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1999年3月27日(土)
起き抜けにエチしてみたりして、だらだら過ごしているとあっという間に昼過ぎに。外は雨だし体は疲れているし、だるだるなのだが一人で実家へと向かう。
信濃町までJRで出て、そこから田町駅行きのバスに乗って「防衛庁前」のバス停で降りる。このルートで実家に行くのはすごく久し振り(最近はずっと西麻布側から実家に帰っていた)。せっかくなのでちょっとだけ六本木の街を散歩してみる。相変わらずばんばん新しい店が出来ている一方で、何故かもう10年近く前にクローズした「ストロベリーファーム」の跡だけはずっと放置されたままになっていたりして、何とも場違いな感じ。東大の物理生物研究所の横の桜がきれいに咲いていた。
実家の前にしばらく立ち、この家に住んだ23年ぐらいについてちょっと思いを馳せてみたり。
家に入ってしばらく二匹のネコと遊び、コーヒーをご馳走になってから作業に入る。すでにグランドピアノもアップライトの方のピアノも運び出してあって(来週までは楽器屋の倉庫に入っているらしい)、妙にガランとした感じがする。
今日の作業は、主にばあちゃんの荷物をまとめるということだったのだが、さすが85年も人間やってると、思い出の数がやたらと多くて、そりゃ大変な騒ぎ。レコードや楽譜の類の多いのにも閉口させられたが、昭和30年代の映画のチラシやパンフレット、今までに観たというオペラのプログラム(これがすごく分厚くて重い)、大連在住時代の手紙だの写真だの、もう物凄い。ひいおばあちゃんの日記だのラブレターだのも出てきて、その度に作業が止まるものだから、いつまでたっても作業は遅々として進まず。
で、古い古い写真の中から、ばあちゃんが昭和23年頃にイブニングドレス着て横浜のニューグランドホテルのステージで唄っている写真が出てきた。すごく綺麗に写っている写真だったので、ニナにも見せてやろうと思って借りてきた。今度スキャンとって公開しちゃおうかな。
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日も暮れる頃になって弟が起きてきて、しばらくギターを掻き鳴らしてコーヒー飲んで、ふらふらと遊びに出ていってしまった。こっちが仕事で疲れた体をおして手伝いに来てるのに、どうしてお前がさっさと遊びに行くんだよ。
母も今日は仕事で出かけてしまったので、ピアノが搬出されてガランとした母の部屋でしばらくネコと遊ぶ。二匹いるネコのうち、兄貴のクリは5才、妹のマリも4才になった。でも長生きすればまだあと10年ぐらいは遊べるのかな。二匹とも僕のことを覚えていてくれるのが、すごく嬉しい。引越して環境が変わったら、ノイローゼになってしまったりしないだろうか。
しばしのんびりしてから、今度はホールの片付け。天井からぶら下がってるスピーカーの解体やら照明器具の分解などの重労働。グランドピアノのないホールは、主を失ったみたいな感じですごく物悲しい。ばあちゃんもちょっと寂しそう。
屋上に上がって、向かいの米軍ヘリポートをぼんやりと眺める。この景色を見るのも今日が最後か。青山墓地の向こうに見えるはずの新宿の高層ビル群は、雨に煙って今日は見えなかった。
何だかぐったりしてしまい、このまま泊まっていきたいという衝動に駆られつつも、明日も予定があるので実家を後にする。母(ピアニスト)も弟(未熟ギタリスト+コンビニの店員)も夜の仕事なので、僕が家を出てから、夜が寂しくてとばあちゃんがぼやく。そうだよな、85才の老婆一人がこの物騒な街で一人で夜眠るってのは、確かに寂しいかもしれない(というか危ない)。
星条旗通りからタクシーに乗ったら、墓地下の交差点で外苑西通りが大渋滞。何故こんな時間に大渋滞なんだ。やっぱりこの街は狂っている。
信濃町からJRに乗って、三鷹から再びタクシー。武蔵野の街は当たり前のように、既に眠りについてしんとしている。そんな当たり前のことに少しだけほっとして、玄関に出迎えてくれたニナにキスをする。
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こうして日記を書きながら、ばあちゃんが元気なうちに、彼女の人生について、詳しく(年代順に)話を聞き、それを小説に書きたいという欲求が生まれてきた。
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4月10日開催予定の「思うこと3周年オフ」についてはこちら(ファイルを更新したのさ)。
それと、オフ用の伝言板はこちら(参加者以外の書き込みも歓迎デス)。
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