思うこと
1999年5月27日(木) あめ のち くもり
梅雨の季節の朝の満員のバスというのは僕が一番嫌いなもの。バスも混んでいる、普段自転車を使う人達がみんなバスに乗るから。道路も混んでいる。空気はじとじとに湿り、傘についた雨の滴がバスの床を濡らし、ギューギューに押し込められた人々が吐く息がトドメをさす。今朝がそんな感じ。着ているスーツが自分の汗と車内の湿気でずっしりと重くなってしまったような気がする。--
天王洲は暴風雨のよう。この僕がまっすぐ歩けないほどの強風で、街路樹がわさわさと騒ぎ立てる音しか聞こえない。風が生暖かくて嫌だったけど、あの木々の音というのはすごくよかった。毎日でも聴きたいぐらい。 --
嫌といえば、天王洲のビルの15階、あまりの強風にビルが軋んでぎしぎし言ってるのを聴いたときは、本当に早く逃げなきゃと思ってしまった。ガラス張りの窓も、いつ木切れかなんかが飛んできてガシャーンと割れてしまうんじゃないかと気が気じゃない。
死ぬ時は知ってる人達に囲まれて死にたいよね。営業で訪問している会社のビルが潰れて死んでも、ほとんど誰も僕のことを知らない訳だから、救出とかも何となく後回しにされたりしそう。せめて自分の会社のビルに押し潰されたい(それも嫌だけどせめてってことで)。
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お昼過ぎに会社を出て、上越新幹線に飛び乗って新潟へ。新潟から白鳥号に乗り換えて秋田県の羽後本荘まで。ああ素晴らしい、今回は大雪も倒木も酔っ払い上司もいない(前回の出張を参照)。でもブチョウの代わりに新入社員がいるから、独りで来る時ほどはリラックスできない。やはり出張は一人が一番気楽でいい。
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日本海を初めて見たのは、会社に入って秋田に出張に来た時だった。でも最近、日本海の海しか見ていないことに、今日気付いた。最後に海と仲良くしたのは一体何年前だろう。ああ、屋久島に本気で行きたくなってきたぞ。
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羽後本荘は涼しくていい。とにかく体がベトベトしないだけで精神衛生上非常によろしい。ホテルにチェックインしてのんびりお風呂に入ってテレビでナイター見ながらビールを飲むなどという、まるで誰かさんみたいなベタベタな幸せを味わい、静かな夜がゆっくりと更けていく。
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風邪で倒れていたニナを気遣って家に電話をしても誰も出ない。携帯に電話を入れたらやたらと元気な声が帰ってきた。新宿で遊んでいるとのこと。ほっとするやらちょっと腹立たしいやら。
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