思うこと     


1999年8月2日(月) 晴れ 時々 くもり

さて、今僕は、新潟発酒田行き、特急「いなほ13号」の車中からこの日記を書いている。みなさんどうも、こんばんは。

そう、毎度お馴染みの秋田への出張である。普段は二泊でのんびりと移動するのだが、今回は時間の調整がどうしてもうまくできなくて、やむを得ずの強行軍となった。今、電車はまだ新潟を出たばかりだけど、終点の酒田につくのは23時過ぎ、立派なテレホタイムである。

明日の朝の普通列車で、象潟に入り、半日仕事をして、午後の「いなほ」に飛び乗り、夜に東京に帰ってくる。そんな、何ともせわしない出張だ。

僕が乗っている指定席には、今お客が僕を入れて4人しか乗っていない。この特急、9両編成で運転されているのだが、そのうちの二両は締切、つまり客を乗せないらしい。まあ、こんな遅い時間の特急だから仕方がないとは思うけど、車内販売もないなんて、ちょっと寂しい感じがするよな、やっぱり。

でも僕はちゃんと、金属製の水筒にたっぷりとアーリータイムズを持ってきているし、駅の売店でちゃんとミネラルウォーターも買っておいた。ちびちびとバーボンをストレートであおりながら、列車の揺れに身を任せるのも、まあ、いいかなと思う。それにしても夜の汽車の旅は、景色がまったく見えないので詰まらない。折角の勇壮な日本海も、塗りつぶしたような暗闇にしか見えない。

さあて、酒田まで二時間以上あることだし、今日はのんびりと日記を書き倒してみようと思う。久々の長編になるかも知れないから、皆さんどうぞ覚悟してください。ふふふふふ。

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と、鼻息荒くスタートしてみたのだが、今このPowerBookのバッテリレベルをチェックしてみたら、あと1時間ちょっとしか持たないらしいということが判明した。何だかなあ、アップルさんよ。こんなに思いノートを担がせておいて、バッテリが1時間ちょっとってのはないだろう。iBookだとバッテリ6時間なんて言ってるけど、ホントかよって感じ。CPUのスピードだとか、ハードディスクの容量だとかの劇的なクオリティアップに較べると、バッテリの品質向上はずいぶんと立ち遅れてるんじゃないかと思うよ、ホントに。

というわけで、どこまでバッテリが持つか分からないままに、日記は続くのだ。ちょっとタバコを一服したいので、ここで休憩。

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ようやっとのことで、大江健三郎の「宙返り」を読み終えた。一冊の(というか上下巻2冊組だが)の本を読み終えるのに3週間もかかるとは、記録的な遅さだな。まあ先月は、何かと精神的に不安定な状態が続いていたから、なかなか読書に熱中できなかったということもあるのかも知れないが、それより何より、やっぱり大江の文体のせいだと僕は思っている。

彼の文章は、重くてカッコつけていて古くさくて、何ともスピードが出にくい文章だと僕は思っている。でもこれは決して彼をけなしているのではなくて、彼の特性だと思っているというだけのこと。

本の中味の感想は、「読書記録」に書くとして、とにかくヘトヘトになって読了したということだけをこっちに書いておこう。でもすごく素敵な小説だったよ。

しばらくは軽くてすいすい読めそうなものを読みたいと思う。

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去年の9月にこの日記の代名詞だった黒の背景色を取っ払い、それ以来ずっとカラー指定は何もなしで日記を書き続けていた。

僕が使っているNetscapeの3.0xだと、背景はグレーに、リンクは青と紫に見える。このちょっと無機質で荒涼とした感じが気に入っていたのだが、IEやNetscape 4.0x以上だと、背景はグレーじゃなくて白に見えるんだよね、そう言えば。

理屈ではそれは分かっていたのだが、僕はIEを入れてないから、何となく他人ごとで済ましていた。そしたら先日知り合った女の子に、「立花さんの日記って背景が白いから…」というようなことを言われて、遅ればせながらすごくびっくりした。

で、さっき試しに背景色を白で設定してみたら、これが僕自身が持っている「思うこと」のイメージとあまりに懸け離れていて、しばし呆然としてしまうほど。

なので、早速背景色をグレーに設定してみた。ふふふふふ、これで一安心だ。背景が白いと思っていたIE等でご覧の皆さん、これが僕の正しい姿です。ちょっと地味だけど、この無機質な感じが、なかなかいいでしょ?←自画自賛

と、ここまで書いて、ネスケでブラウズしてみたら、何だかいつもよりも色が濃いぞ。ああ、何だか日焼けした「思うこと」みたいで変だなあ。でもまあ家に帰って「Web Color」で設定し直してあげれば直ることだし、白背景よりはまだしっくり来るから、今日のところはこのままってことにしておこうかな。うん。

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先週、唐突に次の長編のイメージみたいなものが頭に浮かんできた。

他の人達はどうか分からないけど、僕はそういう時、メモは一切取らない。メモっておかないと忘れてしまうような希薄なイメージは、短編ならまだしも、長編を作る時に絶対必要になってくる、どんどんイメージを膨らませていくということができないから。

それまでにも幾つも小さなイメージみたいなものは湧いていて、それを幾つかの短編にしてみたりはしていたんだけど、今回はずどーんと強烈なイメージで、思い付いてから一週間たってもまだ消えていないから、ひょっとしたら次の長編の中核となるイメージになるかも知れない。

このイメージを、まるで親鳥が卵を大事に抱くみたいにして育てて(抱いている間は人に喋らない方がいいらしい)、それがある日を境にパタパタと文章になっていく。その日のことを思うと、ニヤニヤしてしまうほど楽しみだ。今一番の目標にしてる来年春の「文藝賞」には多分間に合わないから、まあ気長に構想を練ろうと思っている。どんなひな鳥が生まれるか、ちょっと楽しみだ。

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列車はどうやら新潟を出て、山形県に入った模様。ああ、でもまだまだかかるなあ。そろそろ書き疲れてきたので(というか、やけに揺れる列車の中でバーボンをストレートで飲みながら液晶モニタに向かい続けるって、すごくハードなことだと今日知った)、今日の日記はこのへんでおしまい。タバコ吸ってバーボン飲んで本でも読んで、のんびり過ごすよ。気が向いたら宿からまた書くかも。じゃあね。

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大江健三郎、「宙返り」読了。

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今日の体重:90.6キロ(今月の目標:88.0キロ)←(やっぱり増えてた。まあ今週はいいでしょう)


 

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