思うこと



1999年8月3日(火) 晴れ

秋田出張二日目。

ビジネスホテルで目覚める。モーニングコールをセットし忘れて眠ってしまったのだが、枕元の目覚しよりも前に目が覚めた。なかなか爽やかな目覚め。

今朝もしっかりと素っ裸になって眠っていた。眠る時はちゃんとTシャツとパンツを着ていたのに。窓が開けられないからエアコンをつけっぱなしにして、ちゃんと服も着たまま、布団もかけて、と思っていたのに、目覚めればちゃんとすっぽんぽんというのはどういうことだろう。

夜中に裸のまま廊下を歩き回ったりしてなければいいんだけど(おいおいおいおい)。

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昨夜コンビニで買っておいたサンドウィッチとおにぎり、それに缶コーヒーで朝食。ホテルのブレックファストは、ごくごくたまに食べる分にはすごく美味しく感じたりもするのだが、出張の度に食べる気にはならない。量も多すぎるし、ちょっとごてごてしすぎてるし。

ざっとシャワーを浴びて、メイルチェックして、スーツを着込んでホテルを出る。ホテルを出ると、昨夜も匂った花の匂いが空気にたくさん混じっている。歩いても歩いてもずっと匂っていて、昨夜もなんの匂いだろうと思ったんだけど、今日もすごくいい感じで甘くしっとりと匂っている。強い風が吹いても、風向きが変わってもずっと匂っている。これって、何の匂いなんだろう。

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酒田駅から7時53分発の普通列車に乗り込んで、仕事先の象潟へ。

二両編成の普通列車では、新人運転手の試験か何かやっているみたいで、運転席(ワンマン兼用の車両なので運転席はバスみたいな感じになっていて、ドアで隔離されていない)の周りには、先輩運転手みたいな感じの人達や、いかにも試験官という感じのいけめしい人が乗り込んでいる。僕としては、せっかくの運転席からの景色が全然見えなくてちょっと残念だった。

酒田から象潟までの間の羽越本線は、それはもう絶景という感じの壮大な眺めが続く。庄内平野の碧の水田が両側見渡す限り続き、右側の奥には鳥海山、左側には陽光を受けて銀色に輝く日本海。うう、最高でしょ。

試験を受けてる(らしい)新人運転手さんは、列車が駅に停車する度にオーバーランしていた。二両編成の短い列車だから、オーバーランしてもホームがなくなっちゃうってことはないんだけど、列車が急ブレーキ風に止まる度に、試験官の一人が、列車の先頭から、本来の停止位置までの距離を計っては、記録係みたいな人に報告していた。こりゃ、多分試験は落ちたな。だって、ほとんど全部の駅でオーバーランしてたもん。

普段は列車の中は高校生で満員になるのだが、今はなにせ夏休みもど真ん中だから、制服姿の学生の姿はほとんどなくて、代わりにバックパックを背負った若者達や、登山帽姿の年配の人達が目立つ。僕が乗ってた車両には、ネクタイしてる人は僕以外には誰もいなかった。何だかちょっと悔しいじゃない。

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そうこうしてるうちに、列車は象潟に到着。客先との約束の時間まで30分ぐらいあったので、待合室で本を読みながら過ごす。

待合室には冷房がなくて、窓が全開になっているだけ。アッという間に汗まみれになってしまうぐらい暑い。持って歩いていたペットボトルの水を飲み、汗を拭きながら本を読む。

で、ふと思った。ここ、絶対東京より暑いぞ。うん、間違いない。絶対東京より秋田の象潟の方が暑い。スモッグとかがないぶん、日光が直接届いてる感じがして、すごくビリビリする。東京で毎日外回りしてる僕が言うんだから間違いない。絶対に今日の象潟は東京より暑い。

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会社に一本電話を入れてから客先に。ひんやりとエアコンの効いた室内で熱いコーヒーをご馳走になってようやく生き返った感じ。

で、午前中はさくさくと仕事。何人かの担当者とさくさくと打ち合わせをして、さくさくと仕事が終わる。お客さんとお昼食べて、午後一番にもう一丁軽く打ち合わせして、無事お仕事は終了。

東京に残してきた新人の部下に電話して、あーだこーだと指示を出し、お客さん達にぐるぐると挨拶をして今日の出張はおしまい。

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大急ぎでお客さんのところを出て、テクテクと早足で歩いて15分。汗まみれになってようやく海岸に到着。小さな海水浴場だから、海の家もほとんどないし、ガンガンBGMを流すスピーカもなくてすごくいい感じ。砂浜の混み具合もほどほど、というところ。ベンチに腰を下ろし、ほんの2、3分、呆然とキラキラ輝く日本海を眺める(ついでに水着姿のおねいちゃん達も眺める)。

日本海って、まだ泳いだことがないんだよね。少しぐらい、太平洋とは水の味が違うんだろうか。

それにしても今年の夏は暑い。久々の本格的な夏だ。こんな夏は、何かと気が狂いやすいから、気を付けなくてはいけない。スーツを脱ぎ捨ててそのまま海に飛び込みたいという衝動を必死に抑えて、今来た道をUターンして駅へと向かう。ああ、30分でもいいから砂浜で寝転がりたかったなあ。

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14時34分発の「いなほ12号」で新潟へ向かう。ギラギラと輝く日本海をじーっと見つめて帰ってこようと思ったのだが、生憎後ろの席のオッサンが僕が座る前からカーテンを閉めてしまっていて、眺めることができなかった。いいじゃん、多少眩しくたって。どうしてみんな、陽が当たるとすぐにカーテン閉めちゃうんだろう。

新潟で新幹線に乗り換え。「いなほ」が遅れたせいで、お土産もろくに見ることができずにあたふたと駅弁を買って新幹線に乗り込む。ぐわ、ほぼ満席。

よく思うんだけど、喫煙席で満席というのはとてもとても辛い。100人近い人達が座っていて、そのほぼ全員があの狭いところで喫煙する訳だから、もうスーツから顔からしっかりヤニと煙の匂いがびっしり。「いなほ」みたいにガラガラの車内でのんびりプカーっとタバコを吸うのはいい気分なんだけど、ぎゅうぎゅう詰めの喫煙者ってのは、やっぱりすごく辛い。

それにしても、今日乗った新幹線は12両編成なんだけど、そのうち喫煙車はたったの3両。こりゃあ放っておくと、あと2、3年で全面禁煙なんてことになるのかな。まあ、2、3時間だったら余裕でガマンできるからいいけどね。東海道・山陽新幹線でそれをやられると、ちと辛いかな。

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東京着は19時36分。東京駅でもう一度会社に電話を入れて、中央線に乗り換えてよたよたと帰宅。秋田に出張に行くたびに、東京って何て女の子がたくさんいるところなんだろうと、帰ってきてから思う。今回もちゃんとそう思った。高校生ぐらいまでは結構見かけるんだけど、それ以上の年齢の女性はあまり見かけないんだよね。

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秋田帰りだってのに、地元の酒屋で青森の日本酒を買って帰ってきた。美味しかった(なんだかなあ)。だってお土産買う時間がなかったんだもん。

ああ、それにしても強行軍だったな。今夜は早めに眠って明日からまたジョギングの日々に戻ろう。

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P.S. そうそう、家に帰って来たので、背景色を、僕のブラウザで見るいつものグレーと同じ色にしてみた。皆さん、これが本当の「思うこと」です、ハイ。

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村上春樹、「うずまき猫のみつけかた」読了。

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今日の体重:?キロ(今月の目標:88.0キロ)←(shinyaさん、張り合う?)


 

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