Loser / Beck

全ての人間は生まれて死んでいく。

この道筋から外れる人類はいまのところ存在しない。

そうなれば当然生まれでてから死に絶えるまでの道筋をどのように自分で作っていくかということに価値を見出すしかない。

一瞬一瞬の偶然の天文学的蓄積によって僕達の人生は築かれて行く。

朝の地下鉄を一本早く乗ったという偶然のせいで、サリンの毒牙に掛かるのも、キャンセル待ちで飛び乗った飛行機が墜落するのも、莫大な富を築くも老齢にして収賄容疑で収監され獄中で病死するも、長寿を全うし自宅で家族に見守られながら逝くも、全て人生の終焉であることに例外はない。

まっすぐに進みたいと願っても必ずしも進めるものでないのも人生だが、斜めにずれつつも常に正面だけは見据えていなければ、自分が斜めに進んでいることすら気付くことができない。

もがいているのか澱んでいるのか、進んでいるのか後戻りしているのか、

自分の今進みつつある道は正しいのか間違っているのか、

ここ数日、そんなことを考え続けている。

風が吹いている。

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