あなたの温もり 思うこと  不明編


1997年10月27日(月)

Love You to / The Beatles

堰を切ったように勢いよく僕の体内に流れ込む、


陰惨たる漆黒の濁流は、


憎悪と絶望と破滅が融解し再結晶化したチタン製の永久機関の中で、


永遠に続く金属質の絶叫が、


舞踏病に冒された浮腫んだ体を引き裂くかのように、


僕のココロの中の毛細血管を掻き毟り、


のたうち回るサーモンピンクの心臓が、


暗闇の中でまるで蜉蝣の翼のように儚く脈打つのを、


代謝異常を引き起こす向精神剤のミドリ色のラベルに包まれて、


僕は粘着質の白い涙を流しながら見つめている。



熟れ過ぎたアケビの果実は暗闇の中で藍色に発酵し、


潰れた僕の両腕からは金色の砂が流れ続ける。



アケビの果実には無数の蝙蝠が群がり、


僕の瞳は白色矮星を追い求め蝙蝠の求愛を受け入れる。



その瞬間に暗闇の中に銀色の雨が降り注ぎ、


僕の皮膚は焼け爛れ夜光虫のように微かに明滅を始め、


暗闇に流れ続ける濁流は、


白い涙を流し続ける僕のココロを巻き込むように、


僕の肉体に宿った必滅性を、


蜉蝣の翼に産み付けると、


圧倒的な暗闇の中で褐色に輝き続ける矮星に向かって、


静かに飛び立とうとしている。



飛び立つ僕のココロを引き摺るように、


蝙蝠達は苛立ちながら僕の周りを旋回し、


銀色に輝く絹のような糸を口から吐き出しては、


僕のココロを無数の網で捕らえようとしている。



必滅的な暗黒の中で、


僕は引き裂かれた肉体を笑い、


静かにココロを開き、


暗黒の濁流に呑込まれていく。



静寂の中で、





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