ブックレビュー2010年の117冊目は、本田直之氏著、「意思決定力」を読了。
これまでかなりの数の本田氏の著作を読んできたが、本書はその中でも最重要著作の一つに位置づけられるものだ。
少なくとも僕個人はそう感じた。
意思決定力 by 本田直之 〜 人生は決断の連続だ！！ [書評]
人生は意思決定の連続である。
今日の食事を何にするかといった小さなものから、結婚や離婚、それに就職や独立などといった人生を左右する大きなことまで、とにかく人間は生きている間、常に意思決定をし続けている。
ところが、この意思決定が、必ずしも自分自身の力でできない人もいる。
例えば、自分は中華を食べたいと思ったのに、一緒に同行していた同僚が和食にしようと言ったので、仕方なく付き合った、というようなケースだ。
これは誰にでもあることで、社交のために自分の意志を引っ込めるというケースは珍しいことではない。
だが、これが日常的に行われるようになると、その人に意思決定力は弱い、ということになる。
せめて翌日には「昨日お前の希望を聞いて中華にしたんだから、今日は俺の希望で和食にしようぜ」と言えるようになっていないといけない。
だが、日本では、この意思決定力の重要性が今まであまり説かれてこなかった。
「和を重んじる」「空気を読む」など、日本人の美徳とされる言葉に、自己主張を慎むよう促す言葉があるとおり、僕達日本人は他人を尊重することを美するよう教育されてきているのだ。
今まではそれでも良かったのだ。
景気が良く終身雇用に守られていた時代には、僕らは自ら意思決定しなくても、代わりに会社が僕らの生きる方向性を決めてくれ、そしてそれに従って生きるだけで、世界中のほとんどの人達よりも豊かな生活ができるように設計されていた。
しかしもうその時代は終わった。これからは自らの人生は自分で構築していく時代になるのだ。
これは良いことだと、僕は感じている。
自分の人生を他人や人事部などに委ねているよりは、自分自身で舵取りしながら進む方がずっと生きているという実感があるだろうし、成功した時の喜びも大きいだろう。
そんな僕らに必要となるスキルが「意思決定力」なのだ。
そして本書を僕が最重要と感じるのは、本書が単に「意思決定の仕方を指南」してくれるだけではなく、「決断」というプロセス自体を仕組み化して、容易に日々の意思決定が出来、しかも正しい方向に向かうよう、自己鍛練することができる方法が詰まっているからだ。
本書では、意思決定力が必要な理由の説明から始まり、情報インプット力、シミュレーション力、リカバリー力など必要なスキルの習得方法に関する説明があり、最後に実践の場でのトレーニング方法がまとめられている。
55のステップを踏めば、かなりの意思決定力がつくだろう。
念のため言っておくが、意思決定力は簡単に身につくものではない。
本書でも本田氏が書いているが、机上で鍛えることができるものではないのだ。
もちろん座学は大切で、事前のシミュレーションで鍛えられる部分も多々あるし、そのために本書は存在しているのだが、本書で方法を学んだら、あとは実践の場に出て、小さなことから、日々自分自身で決断する癖をつけなければならない。
意思決定は時として苦痛を伴うこともある。その場その場で相手を立てて自分は流されていれば、周囲はみな、あなたのことを「いい人」と呼んでくれるだろう。
だが、一度しかないあなたの人生は、本当にそれで良いのだろうか？他人の「いい人」という評価を守るために、大事なことを犠牲にしていないだろうか。
重大な決断には大きなリスクが伴う。
失敗したくないなら、決断の前に十分なトレーニングが必要なのではないだろうか。
そんなあなたにとって、本書はかけがえのないものとなるだろう。
最重要書籍の一つ。
僕はそう感じた。
決断できない人には未来は開かれない。
「意思決定力」のチェックはこちらからどうぞ！
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https://www.ttcbn.net/no_second_life/archives/920
https://www.ttcbn.net/no_second_life/archives/3343
著者／出版プロデューサー／起業支援コンサルタント／ブロガー／心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった！40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。
