しばらく書評を書けていなかった。ぼちぼち再開したい。
三浦朱門さんと曽野綾子さんご夫妻による「夫婦のルール」という本を読んだ。
夫婦のルール三浦 朱門,曽野 綾子 講談社 2014-05-23 売り上げランキング : 8821
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本書はご夫妻のインタビューをブックライターの上阪徹さんが書籍の形に書き上げた本だ。
僕は不勉強で作品を読んだことがないのだが、三浦朱門さんも曽野綾子さんも小説家である。
夫婦揃ってクリエイティブな活動を生業としているという点では、僕と奥さん夫婦にもちょっと近いかもしれない。
三浦さんは1926年生まれだから88歳、曾野さんが83歳、結婚生活60年というお二人による、「夫婦論」である。
静けさの中に奥行きがある、素敵な本だった。
さっそく紹介しよう。
夫婦のルール by 三浦朱門・曽野綾子 — つかず離れず 長く寄り添うために
夫婦は他人である
親や兄弟と違い、夫婦というのはどんなに長く連れ添ったとしても、他人である。
大多数の夫婦はお互いが知り合うまでの20年なり30年なりは、まったく別の人生を歩んできている。
家庭環境も土地による風習も、価値観も何もかもが異なる二人が人生を供にするのだ。
だから、夫婦は分かり合えないのが当たり前なのだ。
だからこそ、肩ひじを張らず、ゆったり構えて、「うまく行かないのが当たり前」「違って当然」くらいに考える。
自分の価値観に相手を引っ張り込もうとするのではなく、お互いの違いを受け入れ、ちょっとずつ我慢する。
三浦・曽野ご夫妻は、ホットケーキの好みの焼き方の違いを引き合いに出している。
厚手のホットケーキが好みなのか、それとも薄めが好きなのか。
来客があるときには手料理を振る舞うのか、それとも名の通った料理屋の料理で接待するのか。
価値観のすり合わせ、小さなことにおける譲り合い。
そして、違うからこそ、たくさん話をして、笑い飛ばしてしまうこと。
それが「他人」である夫婦が長く寄り添っていく秘訣なのだ。
頑張り過ぎないことの大切さ
三浦・曽野ご夫妻は、前述したとおり共働きである。
そして二人ともご両親を看取り、そして子育ても経験してきた。
その間に太平洋戦争があり、価値観の激変もあった。
曾野さんはストレスにより目が見えなくなるという経験もされた。
そんな中で物事をうまく乗り切ってこれたのは、頑張り過ぎなかったからだ。
他人と比較しない、収入の多い少ないを気にしない。
そして、仕事も人間関係も、「たかが」といなしてしまう。
「異文化理解の極致が、夫婦生活である」
三浦さんはそのように語り、笑っている。
衰えないために何をするか
本書の最後の章には、「「死に方」を考えるより、衰えないために何をするか」というタイトルが付いている。
この考え方はまさに僕が常日ごろ考えていることで、思わず膝を打った。
僕たち人間はいつか必ず死ぬ。
永遠に生き続けることはできないし、遺伝子が死に向かうスイッチをONにすることを止めることはできない。
しかし、そのスイッチが押される日を先に延ばしていくことは可能だ。
「人間はパーツから死んでいく」
この言葉にも唸らされた。
人間はある日突然死ぬのではなく、年齢に伴って、具合の悪い箇所ができ、その部分から徐々に死に向かっていく。
だからこそ、そういうパーツをいかに作らないか、いかに衰えないように夫婦で努力をするか、そのことが大切だ。
永遠に若いままでいることはできない。若いときと同じようなトレーニングはできない。
しかし、老いを認めつつも、その老いの中で自分にできる「衰えないための努力」を地道にしていくことが、とても大切なのだ。
まとめ
僕は常日ごろから、「120歳まで健康に生きる」と吹聴して歩いている。
もちろん自分が何歳まで生きるのかは誰にもコントロールできないのは承知している。
寿命が長くなるようにコントロール可能な部分を、限りなくコントロールして、準備だけしておきたいのだ。
ただ長生きをすれば良いというものではない。
医者にかからず薬も飲まず、元気に活動をして、120歳まで生きたいのだ。
そしてもちろん、隣には奥さんがいてくれることを願っている。
二人で豊かに長く生きたいのだ。
人生という長い道のりを供に歩む「夫婦」。
パートナーシップというのは、深く豊かなテーマだ。
88歳と83歳のご夫妻の語る言葉は飄々とし、そして淡々としている。
しかし、実際に長い人生を供に生きた人にしか語れない、リアリティと奥行きを持っていた。
僕らもこんな風に年齢を重ねていきたいものだ。
飾らない素敵な1冊だった。お二人の小説も読みたくなった。
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。