The Carnival / The Cardigans

最近はすっかりバーボン党になってしまい、毎晩ハーパーばかり飲んでいる。

調子が良いときは一晩でボトル半分ぐらい飲んでしまうが、最近は疲れているのでなかなか減らない。

昔バーテンをやっていたころは若いくせに妙に舌が肥えた嫌なヤツだったんだと思うが、シングルモルトのスコッチばかり飲んでいた時期があった。

勤めていた店の近所に、やはり若くてDavid Bowie大好きバンドマンがバーテンをしている店があって、僕の方が先にシゴトが終わるとちょくちょく顔を出した。

僕よりも4〜5歳年上のバーテンさんはシングルモルト大好き人間で、僕に良く掘り出し物のシングルモルトをただで飲ませてくれた。

ちなみにシングルモルトは日本酒の生一本みたいなもので、一つの蒸留所から作られた、ブレンドされていないスコッチをそのままビンに詰めたもの。Chivas RegalとかJohnny Walkerなどのいわゆる「スコッチ」と呼ばれているものは、何種類ものシングルモルトをブレンドして作られている。

ブレンドして他のスコッチを作るようなシングルモルトはなかなか市場には出てこない。シングルモルトとして発売されるものは大抵やけに値段が高く、最低でも12年ものが殆どだ。

そのバーテンさんはいつも彼が新しく仕入れたばかりのシングルモルトの味見を僕と一緒にした。

彼は必ずスコッチを大きめのブランデーグラスに注ぎ、まるでブランデーを飲むときのように、グラスを暖めながら、時間をかけて飲んだ。

彼の好みのシングルモルトは大体やや甘口で、口当たりがブランデーに近いようなもの、または徹底的に臭くて、ゴツゴツしたもの、という極端から極端への好みだった。

普通に頼めば一杯1,500円〜3,000円もするシングルモルトを毎回飲ませてくれた彼に僕はずいぶん影響を受け、いつの間にか自腹で他の店に飲みに行くときまでシングルモルトを注文するようになってしまった。

20歳そこそこのガキがいきなりシングルモルトを注文して、しかも「ブランデーグラスで」なんて、ああ、なんて生意気なガキだろうか。

ずいぶんたくさんの種類のシングルモルトを飲ませてもらったが、今となっては余り種類も憶えていない。

ただ、GlenLivet（スペルに全然自信なし）の12年だけははっきりと憶えている。

本当にクリアーでコクのある、優しい味で、ストレートで飲んでも舌にぴりぴりする感じがこない。

今でも時々GlenLivetは飲みたいなと思うことがある。

幸いGlenLivetはシングルモルトの中では大変メジャーなブランドなので、比較的どこのバーに行っても置いているのでありがたいのだが、一つだけ問題がある。

シングルモルトの銘柄にはほぼ例外なく「Glen」とアタマについている。何か意味があるのだが何だったかはもう忘れた。で、GlenLivetと並んでもう一つ非常にメジャーなシングルモルトがあり、それが「GlenFiddch」というのだ。

Glenという部分が一緒だから、格別スコッチに興味のないバーテンだとすぐに間違える。ただこのGlenFiddichというのが非常にまずい。

もちろんあれだけ有名なブランドなんだから、単に僕の味覚がおかしいのかも知れないが、同じ12年もののシングルモルトとは思えないようなまずさ。。。

口元まで持ってきただけですぐにバーテンが間違えたことが分かるほどまずい。香りも良くない。

テレビでやってたバーボンのCMみたいでまたしても生意気だが、飲む前に「これ違うよ」などとやっていたのだ。

今となっては引っ越し貧乏でそんな高級なもの、絶対飲めないのが悲しい今日この頃。

今夜はハーパーのロックの予定。吉祥寺の「マツモトキヨシ」の地下の酒屋だと、1,930円（内税）という安さ。

ありがたいありがたい。

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