Hey Lula / Yen Chang
Shakti / Yutaka Fukuoka
What in the World / David Bowie
Haru/
shin-ya b/
かおり
安原/
山本/
わっちゃん/
松木/
松永/
岡田/
江口/
Alice/
うえだ/
阿部
おおつ/
たかの/
貞奴/
珠貴/
小夜野/
織田/
めい/
蛭間/
みやちょ/
ねぎねぎ
崩れ落ちる人格に、
さらにとどめの一撃を加え、
手は痙攣し、
瞳孔は開き、
カラダは無意味にゴソゴソと反応する。
突き付けられた訴状に、
何かを言わんとしつつも、
密かに回転を続けるマイクロカセットの、
軋むような存在感に、
失禁するほどの恐怖を感じ、
背中を丸めて去っていく、
一国一城の主が、
メチャメチャに罵倒され顔を紅潮させ一人背中を丸めて歩き去る、
彼の去った後には一冊の本が残っていた、
「EQ: 心の知能指数」
去り行く白髪混じりのあなたの、大きな、でも委縮しきった丸い肩がエレベータに消えるとき、
僕はなぜか涙が溢れそうになり、
彼を暖かく迎える同士が一人でもいることを祈り、
ドアを閉めた。
ああ、
背中を丸めてあなたが去っていった後、
電話はけたたましく鳴り、
全てのスケジュールが整う、
主が背中を丸めて去っていった後、
職人は一人、淡々と残務整理を続けている、
よーこさんは職人の横顔をじっと見つめている、
僕は見慣れた職人とよーこさんの並んだ横顔二つを見つめている、
PDドライブがカタカタと鳴り、
弁護士は強攻策を叫び続け、
職人は青ざめた顔をモニタに固定したまま、
ファクスで修正された内容証明付郵便の草稿が届く、
消え行く戦士の炎を見つめつつ、
共に闘い、共に笑った日々を思い出し、
せめて、やさしい言葉をかけようと努力しても、
笑顔は引き攣り、言葉は詰まる、
泣きそうな僕の言葉をつなごうとしたよーこさんの笑顔もまた、
ビジネスという斧に怯え委縮し、か細く消え入るようで、
受け止める職人の笑顔も徹夜明けの土色の中で、
涙によって融解される。
共に闘い時間を共有した同士が、
一緒に何日も徹夜して真夜中に気を紛らわせるためにいたずらファクスしたりメイルで励ましあったりみんなで打上げしたりこれにて全作業終了の通知をみて一緒に泣いたりしたあなたが、
土色の笑顔を硬直させたまま頭を下げる、
明日はあなたも被告として名を連ねることになるのか、
僕とよーこさんは精いっぱいのひきつった笑顔を見せて、
エレベータに消えるあなたを見送った、
よろよろと机に戻ったよーこさんは、
机に突っ伏して声を出して泣いた、
シャチョウとブチョウは顔を背け、
うつむいたままオフィスを出た、
どんなにあなたに助けられたことか、
どんなにあなたに励まされたことか、
どんなにあなたと共有した時間が貴重だったことか、
どんなにあなたのシゴトが素晴らしかったことか、
一緒に闘うことが、どんなに嬉しかったことか、
蒼白のよーこさんを一階まで見送ってオフィスに戻った後、
みんながいなくなるまでずっとあなたの残像を見つめていた、
企業と企業の利害なんてどーでもいい、
ガラにもなく、そんなあまっちょろいことを、ちょっとだけ、思った。
一年に一回ぐらい、そんなあまっちょろいことをこっそり思っても、
きっとバチはあたらないと思うから、
今日はずっと、
眠るまでずっと、
そう思い続けようと思う。
視線の先に漂う灰色のビルに灯る赤い点滅灯、
大声で喋りながら歩き去る白人のカップル、
雑音の中から話しかけるニナの声、
僕の机の周りには雪はまだ降らず、
冷たい雨が、僕の骨髄を少しずつ溶かしていくのみ。
Nora/
夜久/
野原/
志織/
武市/
PDPDP/
Akko/
手島/
som1973/
フナイ/
石橋/
Shimomi
nico/
Kana
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