凍える夜に 思うこと  抱擁編



1999年3月3日(水) はれ

発熱につき会社を休む。

昼頃までは泥のように眠り、午後はゴロゴロしたり、本を読んだり、日記巡りしたり、メイル書いたり。そんな一日。

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時間を持て余し(何かをどっしりと腰を落ち着けてするほど元気じゃなかった)、過去の自分の日記を読み始めて結構はまる。それにしても膨大な量だ。毎日毎日の積み重ねだから気付かないけど、とてもじゃないけど一気に読める量じゃない。

で、自分の過去の日記を読んでいて、ついつい、ああ、自分も日記を書き始めてからずいぶんといろんなことがあったんだなあ、などと感慨に耽ってみたり。

せっかくなのでちょっとまとめてみようと思う。

第一期 試行錯誤の時代 1996年3月1996年4月

この時期は、まだwebを始めて間もなかったということで、かなり文章にテレがあって、何とも八方美人的。日記猿人はこのころはまだなかったし、その前にあった日記リンクスの存在も知らなかったので、ごく少数の人達だけが読んでくれていた。

第二期 自己顕示欲全開放出の時代 1996年5月1996年6月

5月のゴールデンウィーク中に日記リンクスの存在を知り、即登録を行う。急激に読者が増え、学生時代からずっと封印してあった自己顕示欲が一気に爆発する。やたらと煽るような文章を書いたり、他人にメイルでケンカを売ったりと、まあひどいことばかりしていた。

第三期 ショックの時代 1996年7月1996年8月

7月冒頭に日記リンクスが崩壊、トラブルの渦の結構中心の方にいた。7月下旬に日記猿人が発足、それと同時に初のオフミを体験。ずっとサラリーマン生活に浸って忘れていた芸術家への憧憬を、せんべいさんによって思い出させられる。8月の初頭に今の恋人のニナと初オフ(オフというのも何か変だけど)。8月中旬に例の永遠の一カ月事件でもめにもめ、しばらくショック状態に陥る。そうこうしているうちにせんべいさんはアメリカへと帰っていった。

第四期 似非芸術は爆発だの時代 1996年9月1997年3月

webを通じて多くの人達と接し、10年間封印し続けていた、芸術家になりたいという欲求を表に出すことを許した時期。でも、今更何をやったらいいのかが全然分からずに、お手軽なweb上にやたらと散文ぽいものや、詩のようなものを書き散らしていた。

第五期 一時的安定期 1997年4月1998年3月

実家を出て独り暮らしを始めたり、この歳になってようやく読書の習慣が戻ってきたり、仕事がようやく安定期に入ったことなどもあって、比較的のほほんと生きていた。独り暮らしと言っても毎晩ニナが泊まりに来ていたので、ほとんど同居生活。ゼロから二人でスタートするという感じがして、のんびりと生活していたが、頭の中ではどうやって芸術家(まだこのころは小説家という具体的なイメージはなかった)になれるかを模索していた。

第六期 いよいよ小説家を目指す。日記は淡々系への時代 1998年4月現在

98年の3月に本気で小説を書いて新人賞に投稿しようと決心し、同じく98年の10月に作業完了。この間、さすがに気力や集中力を小説に奪われるため、どんどん日記は淡々系へと変化する。96年のスタート以来一貫していた黒の背景や、他の日記者へのリンクなども放棄、より本来の日記へと近づいていく。ただ、読者数はどうやら漸減しているらしい。

と、まあ、ざっと振り返るとこんなところだろうか。それにしても96年はせわしないな。でも日記を始める前の僕って本当に酷い状態で、野望はないし趣味はないし彼女はいないし寝る暇もなくひたすら仕事ばっかりやっていて、とにかく鬱憤が溜まっていたんだろうな。最初の1年ぐらいでドバーッと溜まっていたモノを出し尽して、ようやく普通の自分に戻ったっていう感じ。お暇のある方は96年の僕の日記を順番に読んでみると、ここに書いてることがすごく納得できるんじゃないかと思う。

だから、ふと過去の、特に96年ぐらいの日記を読み返すと、今こうして、恋人と二人で暮らして週末になれば友達とワイワイやって自分で書いた小説を新人賞に投稿して結果待ちしてるなんて、本当に夢のような日々。

webで日記を書かなかったら、というか、この世界でたくさんの素晴らしい人々と出会うことがなかったら、今日も僕は実家で暮らしていて彼女もいなくて目標もなくて、ひたすら仕事に追われて今頃一人で酔っ払ってクダまいてるかも知れない。僕個人的には、webで日記を書くということは、自分の考えや方向を明確にするためにすごく役立ったし、何よりも書いてすぐにいろんな人が読みに来てくれるというのがすごいことだと(未だに)思う。人々との関係性みたいなところでは、これはもうとてもここでは書ききれないほどの大切なものを貰っている。

うーむ、やっぱりweb日記というのはすごいものだ(何だかすごくありきたりな〆だな)。

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4月10日開催予定の「思うこと3周年オフ」については、こちらに(ファイル更新しました)。









 

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