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こんな時代だから「人生を後悔しない」働き方を

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僕らの人生は一回しかない。みんな分かっているはずだ。

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 人生は一回しかないのに

分かっているはずなのに、どうして日々を無駄に過ごしてしまうのか。

僕自身の話だ。

もっともっと、「今日が人生最後の日」だと思って生きたい。

スティーブのように。

そうだ、スティーブのように。

 

 

いま文字を打っていてスティーブの名前が出たのは、スティーブはビジネスマンだったからだ。

たくさんのヒーローがいて、たくさんの夢をくれた英雄がいた。

でも、その中で僕がいまスティーブ・ジョブズの名前を挙げたのは、彼は仕事の人として英雄になったからだ。

 

 

僕たちは誰でも仕事をしている。生きるため、生活のため、お金のため。

それだけだろうか?

違う。生き甲斐のため、社会のため、商品を買ってくれる人のため。

 

僕たちは一人では何もできない。本当にびっくりするくらい一人でできることは限られている。

特に社会を支える大きな仕事をするのには、一人ひとりがバラバラでは仕事を仕上げることができない。

 

 

だから僕らは「組織」を作る。

簡単にいえば、会社だ。

 

 

会社ができると、そこにはリーダーが必要になる。

誰かが決めて命令し、他の人はその命令に従うのだ。

 

 

その命令が優れているかどうかによって、ある会社ではどんどん良い製品が生み出されることもある。

逆に命令がデタラメだと、組織は混乱し停滞し製品は売れなくなり、やがてその会社は瓦解するだろう。

 

 

 

 

世の中にはいい会社があり、悪い会社がある。

でもそこで働くことは、僕らにとって当たり前のことだった。

 

 

学校を卒業したら会社に入って働く。

一生懸命働くと出世できて給料が上がりたくさんボーナスが貰え、他の人よりちょっと大きな家を買ったり家族で海外旅行に行けたりする。

 

 

定年退職までずっと会社に勤め、その後は退職金と年金でのんびり暮らす。

それが今までの僕らの人生プランのテンプレートだった。

 

 

でも、いま、僕らはそんな生き方に大いなる疑問を感じている。

当たり前だ。

会社は毎朝決まった時間に会社に来いと命令する。

ある日突然1,000km以上離れた場所への転勤を言い渡される。

副業をするなとか、コンピュータを持ち出すなとか、髭を生やすなとか、スーツを着ろとか、とにかく色々命令する。

 

 

なぜ僕らはその命令に従うのか。

組織として上長の命令に従うのは当たり前だから?

それはもちろんそうだ。

でも、ではどうしてそんな命令ばかりする組織に僕らは隷属することになっているのか?

 

 

それは、今までは会社が僕らの未来を保障する代わりに、僕らの人生を縛っていたんだ。

会社にいて上司や組織の命令に従っていれば、お給料は上がり続け、定年までずっと勤めることができると保障されていたからだ。

 

 

一日で一番効率が上がる時間帯を全部会社に差し出す。

人生で働いている間ずっと返済が続く住宅ローン組み返済する。

定年退職になって自由になった時には、もう燃え尽きていて、「ボロ雑巾」と呼ばれたりする。

それでもいいと思えていたのは、「明日は今日より世の中が良くなっているだろう」という根拠のない希望があったからだ。

 

 

2011年12月現在、日本に「明日は今日より世の中が良くなっているだろう」と思って生きている人の比率は40年前と較べたら劇的に少なくなっているだろう。

僕らの親の世代と僕らの世代では、肌に感じる世界が違う、世の中の仕組みが違う、設計すべき人生が根本的に違う。

会社は40年前と同じく僕らに命令をするが、もう僕らの未来のことなんか全然保障してくれない。

組織の命令に従ってイヤイヤ働いた揚げ句、その会社が倒産して消滅する、というのは、今ではリアル過ぎて冗談にもならない。

 

 

でも、どうやって働いていけばいいのか?

お金は必要だしスキルだって身につけたい。会社を飛び出して一人で働けるようなスキルも自信も人脈もない。

いま、皆が不安を感じ、疑心暗鬼になっている。

 

そんな時代に、一つの形を見せてくれた人たちが本を書いた。

だから、 僕らは この 働き方を 選んだ」という本だ。

 

 

だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル馬場正尊 ダイヤモンド社 2011-12-09
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フリーエージェントとしてのチャレンジ

東京R不動産というWebサイトがある。東京の不動産情報のサイトだ。

この東京R不動産というサイトは、二つの企業のコラボレーションにより運営されているのだが、運営スタッフは社員ではなくフリーエージェントとして働いている。

 

 

「フリーエージェント」というと、日本ではプロ野球のことを思い浮かべる人が多いだろう。

本書で著者が簡単に説明してくれているので引用しよう。

 

 

東京R不動産のメンバーたちは、「フリーエージェント・スタイル」という働き方をしている。

これは、プロ野球で例えるとわかりやすい。プロ野球では、選手たちは基本的に個人事業主だ。選手は球団と「契約」し、成果に応じて報酬をもらう。

個人の成果が低ければ年俸は下がり、高ければ上がる。しかし、個人の成果の前にまずチームが勝たないといけない。選手はチームが優勝するという共通の目的を持っていて、個人プレーヤーでありながら、チームが優勝するために頑張るのだ。

東京R不動産のメンバーたちも、会社と「契約」している個人プレーヤーだ。サイトという場を使ってそれぞれが商売しているとも言えるけれども、同時にサイトを面白くして人が集まるように一緒に頑張っている。報酬は個人の成果に連動しているし、個人の裁量が大きいけど、チームとしてお互いに連携もしながら動いている。

 

「会社」という硬直した組織では働きたくない。

そう思う人は確実に増えているだろう。

 

 

でも、その一方で、個人でできることは限られているし、特殊技能がないと個人で食べていくことは難しいのも事実だ。

また、世界中から一切の企業が消滅して全員がフリーランスになったりしたら、この世の中からあらゆる商品もサービスもなくなってしまう。

 

 

現代社会においては集団が組織を作って仕事をすることは必須のことなのだ。

だからこそ、この「フリーエージェント・スタイル」という働き方が注目されているのだろう。

 

 

 

 

自由とセルフマネジメント

「雇用」というレガシーな働き方とフリーエージェント・スタイルの一番の違いは何だろうか。

それは、「自由」と、それと引き換えの「セルフマネジメント」に尽きる。

 

 

ミーティングやお客さんとのアポなど、他人と一緒に仕事をする時間を除けば、働く時間や場所は自由だ。

平日昼にちょっと映画を見に行くこともできるし、雨の日は自宅で仕事をしてもいい。昼寝したっていいのだ。

成果を出すことが条件だから、チームとお客さんに対して誠実でフェアであること以外の縛りは原則存在しないのだ。

 

 

その一方でフリーエージェントならではの厳しさも当然ある。

なんといっても一番の関門は報酬の保障がないということだろう。

 

 

担当している案件がまったく成約しなければ、売上ゼロとなり、その結果受け取れる報酬もなくなってしまうのだ。

平日昼にぐーぐー寝ている自由が与えられる代わりに、毎月同じ金額が給料日に振り込まれるという保障がなくなるということだ。

この厳しさを乗り越えていくためには、自分をいかに律するか、セルフマネジメントが必要になる。

 

 

 

 

やりたい仕事をして生きる

僕が会社に入ってすぐに「仕事とは常に辛いものだ」とずっと上の上司から言われた。

当時はその言葉にそれほど違和感は感じなかったが、今思うとその言葉には「女工哀史」や「蟹工船」的残酷物語の響きを感じてしまう。

 

 

やりたい仕事とは違う部署に突然異動させられる。

出世レースからある日突然脱落し、子会社に出向させられる。

コンプライアンス的に問題ある業務をいやいややらされる。

 

 

会社という組織を維持していくためには当たり前のことなのかもしれない。

でも、「そんなことしたくない」と感じた思いは、本当にずっと我慢し続けないと生きていけないものなのか?

フリーエージェント・スタイルを取る東京R不動産には、自分がやりたくない仕事を断る自由がある。

 

会社を辞めて一番大きかったのは、この仕事は自分に向かないなとか、ポリシーに合わないと、「すみません!」と断る自由を得たということだ。一見、消極的に見えるけれど、僕らにとっては大きなことだった。

 

日々好き勝手なことをして遊んで暮らしたいわけではない。

ただ、やりたい仕事をバンバンやって、生き生きと働きたいだけなのだ。

多くの日本人が求めるポイントは、ひょっとしたらここではないだろうか?

 

 

 

 

まとめ

日本人は戦後ずっと、「より豊かに」をキーワードに掲げて猛進してきた。

そしてその結果、もう十分豊かな世界を手に入れた。

 

 

そしてこれから、日本は次のステージに進んでいかなければならない。

そしてそのタイミングで起きた震災と原発事故。

 

 

生き方を考えることは働き方を考えることだ。

小さな子供がいる家庭で、東京を離れて安全な場所で子育てをするべきじゃないかと考える父親も多いだろう。

社会的に不誠実な仕事に就いて日々不本意に生きている会社員だっているだろう。

でも、会社を辞めたらどうやって生きていけどいいか分からない。だからこそ皆がいま困っているのだ。

 

 

東京R不動産のフリーエージェント・スタイルという試みは、日本企業においてはまだまだ特殊な事例の一つに過ぎないのかもしれない。

しかし、働き方・生き方を模索する多くの企業人にとって、仄かな光が見える試金石となっていることは間違いないだろう。

東京R不動産では、アフロ髪のリーダーや、元「山海塾」出身のメンバーが、今日も「自由」と「面白い」をキーワードに頑張っている。

次の時代の働き方のヒントになる本だ。働き方についてもやもやしている方は是非読んでみて欲しい。

オススメ!

 

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