思うこと



1998年1月15日(木)


Crazy Little Thing Called Love / Queen




昨夜はずいぶん夜更かししつつ、時々カーテンを開けて雪が降ってきたかどうかを確認したが、僕が眠るまでに雪は降ってこなかった。

一週間の間に3回も雪が降っているのだから、少しは飽きればいいのに、まだまだ雪が降っていると意味もなくワクワクしてしまうのは、やはり僕がまだまだ子供だからなんだろうかね。

と言うわけで、ずいぶん夜更かしした割りには今朝は早く目覚める。チェーンを履いた車の音に反応して飛び起きると、窓の外は一面の雪、雪、雪。

昼間も寒いだろうなー、などと思いつつも、外に出たくてうずうずし続け、無理矢理用事を作り、近所のコンビニまで出かけていく。

白と黒のモノトーンに押し潰されるように、街道沿いの景色は色彩を失っている。雪が音を吸ってしまうので、ただでさえいつもよりも車が大幅に少ない街道沿いは、奇妙な静寂に包まれ、僕とニナが雪を踏み締める靴音と、傘に降り続く雪の音が大きく反響しているような錯覚を感じる。

用事を済ませてしまってからも、本当は更に小一時間ぐらい歩き回りたかったのだが、ちょっとニナに遠慮して素直に帰ってきた。



Walter T. / Ambersunshower


雪に閉じ込められた静かな夜には、ふと心が感傷的猿の惑星に飛んで行ってしまいそうになる。

どんなに暖房を強くしても、暖かい布団に潜り込んでも、静寂が鋭角に部屋の中に忍び込んできて、僕達の体や心から温もりを奪っていこうとする。

感傷的猿の惑星は、雪の降り止んだ東京の上空に銀色に輝き、地上の全ての温もりと音を奪い取って行こうと企んでいる。

僕はもこもこに着膨れをしながら外に出て、まっすぐに天空を見上げる。

感傷的猿の惑星は僕が外に出てきたのを待っていたかのように、僕に向かって優しく輝き、僕の心から全ての哀しみや苦しみを奪ってくれるようだ。

僕は両手を広げ、感傷的猿の惑星の輝きを全て受け入れようとするのだが、

途端に再び雪雲が空を覆い、感傷的猿の惑星の魅惑的な輝きを包み隠してしまう。

僕は新雪を踏み締めながらとぼとぼと部屋へと戻り、窓の外をぼんやりと眺めながら雪が止むのを心待ちにする。

やがて待ちくたびれた僕はもそもそと布団に入り、静寂の中で静かに眠りに落ちる。

静かな夜には、僕の心はふと感傷的猿の惑星へと飛んで行ってしまいそうになる。



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