エッセイ

なるほど、ここは楽園だった

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いつもと同じように家の前の海に出ていた。

時間帯は昼前の午前中、お天気は快晴で海も太陽もキラキラと輝いていた。

ビーチサンダルで砂浜に出て、途中で脱いで裸足になる。

波打ち際に素足を浸けてアーシング。

10月に入っているが気温も水温も高く、泳ぐことだってできるだろう。

寄せては返す波が眩しい。

海にはほぼ毎日来て同じ景色を見ているはずなのに、今日は全然景色が違って見える。

隣に一緒に海を見つめる存在がいるからだろう。

そして今さらながら気づく。

今まで僕は毎日キラキラの海を見ながらも、自分が孤独であることを心の奥底で嘆いていたのだと。

自分には寄り添ってくれる存在がいないことを、周囲で楽しげにしているカップルや家族連れを見て悲しんでいたのだと。

自覚はしていなかったが、僕は海に出て美しい景色を見るたびに、自らの孤独を再認識していたのだ。

 

いつものテラス席でカウンターに並んでランチしながらワインを飲み、海を眺めていた。

一人で来ている時と、カウンター席からの眺めもまた違って見えた。

いつもは一人で食事をし、一通り海を眺めたらさっさと家に戻るのだが、この日は永遠に海を眺めていられるような気がした。

なるほどそうか。ここは楽園だったんだ。

僕は今まで写真に美しさを込めつつも、その美しさを本当の意味では楽しめていなかったのだと気づかされた。

楽園にいながらモノトーンの景色の中を生きていた僕の目に、初めてビーチが天然色に眩く映えていた。

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