あなたの温もり 思うこと  不明編



1997年12月11日(金)


Light My Fire / The Doors


全ての人間が幸せで平等である必要なんてないと僕は思う。

それはもちろん人種差別だとか、部落差別だとかというレベルの話ではなくて、僕が言いたいのはみんなが平等に幸せ、なんてことはありえないってこと。

だって僕達個人個人の能力はみんな違うし、適性だって異なっている。ある者は物凄く頭が良いけれども努力することが大嫌いかも知れないし、ある人は頭のできはそれなりだけど、誰にも負けないぐらいの努力をするかも知れない。その結果もともと凄く頭が良かった人だって努力で築いてきた人に負けちゃうかも知れないし、もしかしたらそれでもやっぱり生まれ付き才能があった人間の方が強いかも知れない。でもどっちにしても僕達が日々こうやって生きてる世界から、努力や才能に対する代償が失われてしまったら、もう誰も努力なんてしないだろうし、溢れるような才能だってひょっとしたらアッという間に枯れてしまうかも知れないと僕は思う。だって先天的な才能や後天的な努力が千差万別なのに、全ての人を平等に扱われたら、そりゃあ嫌だよね。

何が嫌かって、平等という言葉が、努力をせずにやってきた人間の怠惰を包み隠すための代名詞みたいに使われることだ。それに幸せという言葉が、みんなと一緒のレベルにいられるという、ひどく消極的なレベルで語られてしまうことだ。「まあ、人並みに生活できてるんだから、幸せだよね」こんな言葉には僕はうんざりしてしまう。

人間は生まれてから死ぬまで、天文学的な回数の選択を行い続けて死に至ると思う。もちろんその中には不可避的な選択も含まれると思う(偶然乗った飛行機が墜落したとか)が、自発的な選択も数限りなくある。

自分が何か重大な選択を迫られ、散々悩んだ末に選んだ結果が自分の思わないようなものだった時に、それを偶然の責任にしたり、環境の責任にすることだけは、僕はしたくない。

確かに人間には運もあると思うし、周囲の環境のせいで思うように自分が動けないことも多々あるとは思うんだけど、どんな経緯があったとしても、自分の選択を他人や環境の責任にしてはいけないと思うし、結果として不本意な状況に置かれた自分を慰めるように、自分と向きあわなくても良いように、幸せという言葉を持ちだすなんて、絶対にしたくない。

僕は自分の人生において、成功者となりたい。どうしても、何がなんでもなりたい。それは誰かと較べて金持ちになりたいとか、有名になりたいとかということではなくて、自分が満足できる生活を送って死を迎えたいと思う、ごく個人的なレベルでの成功だ。別に僕はプール付きの豪邸に住みたいとも思わないし、ワイドショーのレポーターに追い回されたいとも思わない。僕が望んでるのはそんな種類の成功ではない。僕は単に、いつも自分を褒めてあげられるように生きていきたいだけだ。僕は常に努力をして、自分に与えられた才能を行使して、そしてその代償として、自分が人間として生きていくためのプライドと安らぎを維持して行きたいと思う。

そして僕は幸せになりたい。猛烈な幸せの怒涛の渦の中にどっぷりと浸って生きていきたい。分かってると思うけど、その幸せは、隣のご主人よりも出世が早いとか、ちょっと無理して郊外に土地付き一軒家を買うとか、そういうタイプの幸せではない。僕が求める幸せとは、僕自身が年老いて死ぬ瞬間まで常に進歩し続けられるような人生を送ることであり、愛する人を死ぬまでずっと愛し続けることができるような生活を送ることだ。

阿呆臭い理想論だと思う人もいると思うけれど、僕は28才になってもこんなことを考えている。そして、28才でこんなことを考え続けている自分が、すごく好きだ。

人間一度プライドを捨ててしまうとずるずると堕ち続けてしまうものだ。僕はせめてこの虎の子のプライドだけは死ぬまでずっと持ち続けたいと思っている。そして、自分が成功して幸せになるための努力は、死ぬまで惜しむことがないように生きていきたいと思っている。たとえ30才になろうが、40才になろうが、やろうと思えば、結構それなりに素晴らしいことができると、僕は信じている。だから、僕は、今日もこうして生きている。




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