「本を出したい」「出版したい」という声を良く聞く。3年前は僕も「本を出したい」とうわ言のように言っていた人間の一人だ。
最近僕は「出版したい」と言っている人に、こう質問するようにしている。
「何冊本を出したいですか?」と。
もちろん1冊目が出なければ2冊目は永久に出ないことは承知のうえでの質問だ。
しかし、多くの人はこの質問に答えることができない。
なぜか。
それは、目の前にある1冊目のことしか考えていないからだ。
しかし、ここに重大な質問がある。
「あなたは「作家」として生きたいですか?それとも一冊記念に出したいだけですか?」
もしあなたが人生の記念に一冊だけ出版して、「本が出ました」と友達に配りたいのなら、何も問題はない。
しかし、もしあなたが作家として生きていきたいのなら、1冊しか本が出せないのでは、当然のことながら作家として「生活」することはできない。
つまり作家としては生きていけないのだ。
作家として生きるためには、コンスタントに本を書き続け、その本がコンスタントに売れ続けることが必要だ。
「出版したい」という人向けに、企画書の書き方を指南している本やセミナーはたくさんある。
しかし、「作家として生き続ける」方法を僕たちに教えてくれる本は存在しなかった。
そんな本が出た。タイトルはずばり「印税で1億円稼ぐ」。ミリオンセラー作家千田琢哉さんの本だ。
印税で1億円稼ぐ千田 琢哉 あさ出版 2013-11-08 売り上げランキング : 6754
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さっそく紹介しよう。
あなたは「作家」として生きたいですか?それとも1冊出せれば満足ですか? — 印税で一億円稼ぐ by 千田琢哉
新人作家にとってプロフィールは命だ
作家にとって「プロフィール」は命である。
特にまだ一冊目を出していない作家志望の人間にとっては、プロフィールこそが生命線である。
千田さんは以下のように書いている。
ビジネス書の場合は、読者はプロフィールを一瞥して自分より格上か否かをチェックする人が多い。
「この著者から学ぶ価値があるか否か」をシビアに判断されるのだ。
年齢・学歴・職歴・実績といった著者の情報を総動員し、自分より格下の相手だと判断されればサヨナラである。
「本の内容が良ければプロフィールなんて関係ないだろう」という考えは甘い。
なぜなら、内容を知ってもらうためには、読者に手に取ってもらう必要があるからだ。
しかし、表紙や帯、そして奥付のプロフィール欄を見て、「この人は大したことないな」と思ったら、読者は本を買ってくれないのだ。
読者は「自分が尊敬できる相手」から、面白い内容を教わりたいのだ。
出版を目指す人は、自分自身のプロフィールを書き出して、読者に尊敬されるモノがしっかり列挙されているかチェックしよう。
もしあなたのプロフィールに魅力的な実績がないなら、あなたはまだ出版は時期尚早かもしれない。
作家として生きていきたいなら、魅力的なプロフィールが書ける人生を歩む必要があるのだ。
ブログは出版への登竜門
僕自身このブログNo Second Lifeから出版に至ったのでこの項目には頷くばかり。
出版を目指す人は是非ブログを書くべきだ。
ブログは始めるのにお金がかからない。そして全世界に公開される。
あなたの友達だけではなく、気が合う人にも合わない人にも、そしてもちろん編集者にも読まれる可能性がある。
もしあなたのブログがまったく人気が出ないなら、あなたの書く内容がつまらないからだ。
しかし、ブログには「失敗」という文字はない。読者がいなければ増やす工夫をすればいい。
そこが出版とはまったく違うところだ。
次の項目で書くが、出版は1冊目で失敗するとThe Endである。
しかしブログは今日の記事がつまらなくても明日の記事が面白ければOKなのだ。
失うものは何もないのだから、どんどんブログを書くべきだ。
そして、出版に直結するブログのコツを千田さんはこう言っている。
出版に直結するブログにはコツがある。
それは「自分が書きたい内容を書くのではなく、相手が読みたくなる内容を、これでもかというほど分かりやすく書くこと」に尽きる。
出版は、今日、今すぐというわけにはいかないが、ブログなら今日、今すぐにでも始められる。
ブログすら面倒で書けない人間が出版なんてできるだろうか?
文章を書く訓練のためにも、ブログを始めることを是非実行してもらいたい。
1冊目に命をかけろ
人生の記念に1冊だけ本を出したい。
そういう人が本を出すことは簡単だ。自費出版でお金を払えば本は誰でも出せる。
しかし、自費出版した本は流通されないので、本屋に並ばない。だからまったく売れない。
また、多くの一般の人が知らない事実だが、1冊目が売れないと、その時点でその人の作家人生は事実上終了となる。
作家として生き続けるためには、売れ続けなければならないのだ。
そしてそのためには、1冊目は何がなんでも売れなければならない。
「1冊目はウォーミングアップで腕ならしして、2冊目から本気で」というのはまったく通用しないのだ。
1冊目の本には、あなたの人生のすべてを注ぎ込んで、「好きなこと」ではなく「得意なこと」を書く必要がある。
読者が「この本を買って読んで良かった」と思い、誰かにそのことを言ったりSNSで紹介したりしてくれることが、増刷につなかるのだから。
千田さんは以下のように書いている。
出版社から本を出して書店に並べてもらうというのは、出版社から著者が普通自動車1台分のお金を出資してもらうということだ。
出資者に媚びる必要はないが、出資者が何を望んでいるかを知る必要はある。
出資者に報いるためには、芸術的で高尚な作品を書くことではない。
売れる作品を書いてお金を回収できることが恩返しの最低条件だ。
1冊目が売れれば、2冊目、3冊目がイマイチの売れ行きでも、作家としての活動を継続することができる。
だからこそ、1冊目は出し惜しみせず、すべてを書き尽くす。
その覚悟と気合いが必要なのだ。
1冊で100万部より100冊で100万部を目指す
作家を目指す人の夢。
それは「ミリオンセラー」ではないだろうか。
年間7万点もの本が出版されるなかで、ミリオンセラーは年に数点、多い年でも10冊程度である。
1万冊のうちの1冊程度しかミリオンにはならない。
そして、ミリオンセラーの出し方は、出版社にも著者にも編集者にも、誰にも分からないのだ。
そんな宝くじみたいなものを狙って大振りしても、実りはないだろう。
小学生がプロ野球のエースを相手にバッターボックスに入り、場外ホームランしか狙わないようなものだ。
そんな無駄な努力をするよりも、作家として生き続けられるために必要なことをするべきだ。
1万部売れれば「ヒット」作と呼ばれる。
ヒット作を出し続ければ、次の本の声が掛かる。
そしてその次の本もまた1万部を狙ってコツコツ売っていく。
するとその中から、5万部ヒット、10万部ヒットといった、ツーベースやスリーベースが生まれてくるのだ。
一冊だけ100万部売れて、その後鳴かず飛ばずになってしまった作家は数知れずいる。
爆発的ヒットというのは、「時代に消費」されてしまうからだ。
業界では「オワコン」(終わったコンテンツ)という。
一度オワコンになると、本人がいくら努力しても時代は二度と振り向いてくれない。
本当のベストセラー作家の多くがテレビにまったく出ないのも、時代に消費されないための自衛策のことが多い。
ポテンヒットもヒット、バントヒットもヒットだ。
1万部のヒットを100冊出せばミリオンセラーである。
一生書き続けたいなら、こちらを狙うのが王道であろう。
まとめ
「ミリオンセラーの作り方」という本は、ミリオンセラー作家にしか書けない。
それはまさに、プロフィールの問題だ。
たとえば僕が「ミリオンセラーの作り方」という本を書いたとして、あなたは買うだろうか?
まだ累計部数が10万部にも達していない、4冊しか本を出していない僕のプロフィールを見て、あなたは本を投げ捨てるのではないか?
著書が78冊あり、累計ミリオンセラーを達成した千田さんが書いているからこそ、重みもあり意味もある本なのだ。
この本は、これから出版を目指すすべての方に読んでもらいたい。
なぜなら、正しい出版の仕方を知らないために、1冊目で失敗して業界から強制退場となってしまった人を僕は数多く知っているからだ。
僕は本当に幸いなことに、2010年〜2011年頃出版を本気で目指していた頃に、先輩作家の方々から「正しい1冊目」に関するアドバイスをたくさんいただくことができた。
そのアドバイスに従ったからこそ、僕は何とか生き残ることができ、5冊目と6冊目の本を今書き続けることができているのだ。
そしてこの書評を読んでいる皆さんは幸運だ。
僕が出版を目指していた頃にはこの本は存在しなかった。でも皆さんはいまこの本を読んでそのアドバイスに従うことで、討ち死にを避けることができる。
知らないまま適当に進むには出版の世界は危険な業界だ。
一度進んでしまえば後は崖だ。後戻りできない。
だからこそ、この一冊を是非。
2014年最初の書評。すべての出版を目指す人に。心からのオススメ!!
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著者/出版プロデューサー/起業支援コンサルタント/ブロガー/心理カウンセラー。
あまてらす株式会社 代表取締役。
著書に「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」「起業メンタル大全」「「好き」と「ネット」を接続すると、あなたに「お金」が降ってくる」「ノマドワーカーという生き方」など全9冊。
神奈川県鎌倉市の海街在住。