あなたの温もり 思うこと 不明編


1998年4月26日(日)

Soon / My Bloody Valentine


降り積もる淡い花弁の、


幾重にも重なる乾いた年輪に、


思わず涙が溢れ出し、


小さな声であなたの名前を呼んでみる。



流れ行く水の冷たさと、


水面に映る銀色の月の、


絶望的な儚さに、


夢現つの僕は、


行き場を失ったまま一人彷徨い続ける。




恐れを失う豊饒な愛も、


溜息と共に溢れ出す暖かい絶望も、


夢を連れて銀色に降り続ける雨に誘われるように、


闇夜へと羽ばたいて行こうとしている。


止めどなく沸き上がる蒼い歓声に、


身を任せる紫の煙、


切れるほど澄んだ孤高の世界、


全てを焼き尽す強烈な宿命、


飛び立っていく銀色の翼。




ススメ、


DOKOMADEMO、


ボクタチヲツレテ、


ハバタイテ、


ユケ。




Don't Ask Why / My Bloody Valentine




数多くの大切なものを失い続け、


僕は一人ぽっちで立ち竦んでいた、


進むべき方向も見つからずに、


夢を失いつつあることにさえ気付かずにいた、


カサカサに乾いた心をコンクリでひっかきながら、


僕は都会の熱に冒され真夜中の街を彷徨い続けていた。


引き攣った笑顔を垂れ流し喜びを忘れ、


僕は人を傷つけ人に傷つけられ、


温もりを忘れた。




僕は信じようと努力していた、


一人でも生きていけるって、


僕は納得したつもりでいた、


僕には一人が似合っているって、


瞳から涙は消え、


代わりに白い砂がさらさらとこぼれた。


灼熱のアスファルトに焼かれ、


僕のカラダはどろどろに溶け、


僕の心は影となり歩道に焼き付いたまま、


どこにも行けずに黒い涙を流し続けていた。





あなたの温もりに触れた時、


僕のココロは微かに震え、


あなたの瞳が小さく微笑んだ時、


僕のココロはゆっくりと溶け始めた。


温もりと優しさにゆっくりと包まれて、


僕は失いかけていた夢を取り戻し、


再び歩き始める勇気を取り戻すことができた。


アスファルトに焼き付いた影を取り戻し、


裸になって涙を流すことを自分に許した。




あなたが僕に与えてくれた多くのものを、


僕は大切に抱えたまま、


しっかりと両足で歩いて行こうと思う。


与えてくれた大切なものをゆっくりと、


あなたに返していこうと思う。



あなたの声に、


あなたの笑顔に、


あなたの言葉に、


あなたの優しさに、


あなたの温もりに、


あなたの儚さに、


あなたの強さと、


あなたの弱さに、


僕は、







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