書評

楽しい人生の作りかた教えます!! — カスタマイズ・エブリデイ by 村上萌

書評
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20世紀と21世紀の一番大きな違いとは何だろうと考える。

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それは「多様性」ではないだろうか。

インターネットの発達というバックボーンがすべてを変えた。

テレビのチャンネル数は劇的に増え、YouTubeやニコニコ動画にアクセスすれば、無限大のコンテンツから自分が今観たいものを選ぶことができる。

街のCDショップは事実上消滅し、音楽産業はコンテンツのダウンロード販売がメインになった。

iTunesストアには「お店の棚の限界」がない。サーバを増設していけば、コンテンツの量は事実上無限大に増やせる。

書籍もKindleをはじめとする電子書籍ストアが百花繚乱状態で、KDP(Kindle Direct Publishing)のように、出版社を介さずに電子書籍を出版することも可能になった。

選択肢が無限に増えたのだ。

 

 

昭和の時代には、テレビのチャンネルは1桁しか選択肢がなかった。だから日本中の人が同じ番組を視て、同じ歌手の歌を聴き、同じ本を読んだ。

ビデオデッキもテープも昭和の時代には十分普及していなかったので、録画したコンテンツを視ることもできなかった。

しかし2013年には、地上波のテレビを視るというのは、膨大な選択肢のなかの一つでしかない。僕たちは選ぶことができるようになったのだ。

無限の多様性の時代。それが僕たちが生きる世界だ。

しかし、僕を含む多くの人は、その無限の多様性を十分に活用し、楽しめていない。

世界だけがさっさと進化していて、僕たちの認識が追い付いていないのだ。

 

 

前置きが長くなった。そんな僕たちに、多様性の楽しみ方を教えてくれる素敵な本を書いてくれた美しい女性がいる。

村上萌ちゃんだ。彼女が書いた「カスタマイズ・エブリデイ」という本は、サブタイトルがすべてを現している。

「コーヒーは、ダブルトールノンファットエキストラホットラテ」。

 

カスタマイズ・エブリデイ コーヒーは、ダブルトールノンファットエキストラホットラテ村上 萌 マガジンハウス 2013-09-26
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アイススケートの技の名前ではない(笑)。スタバのラテのカスタマイズの例だ。ちなみに僕はこのカスタマイズの内容が全然分からなかった。活用できていないのだ。

さて、この本は軽いポップな装丁でオシャレに作られているが、内容はすごく熱い。そして濃い。

今年読んだ本の中でトップ3に入るぐらいの素晴らしい内容なのだ。

心して紹介しよう。

 

 

 

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楽しい人生の作りかた教えます!! — カスタマイズ・エブリデイ by 村上萌

 

人生はラテかも

「人生はラテかも」

この本の冒頭に出てくる言葉だ。

この言葉を読んで僕はぶっ飛んだ。

なんたる名言。ビックリした。

 

 

著者の村上萌ちゃんは、小さい頃から将来の大きな夢や目標を持てなかった。

そのことにコンプレックスを感じたこともあったという。

でも、萌ちゃんには「次の週末」に行きたい場所、会いたい人、やってみたいことは常にたくさんあって、いつもウズウズしていた。

それを一つ一つ叶えていくうちに、やがて彼女は「ライフスタイルプロデューサー」という仕事で起業し、多くの人々に、素敵な生活スタイルを提案する立場になった。

そして彼女が人生を楽しむキーワード、それが「カスタマイズ」なのだ。

 

 

「人生はラテかも」。

彼女がオーダーするラテは、ダブルトールノンファットエキストラホットラテ。

人生を一杯のラテだと思おう。

人生というラテの「今の味」と「理想の味」を知っているだろうか?

スタバに行って普通のホットコーヒーばかりを頼んでいるあなたは、それがあなたにとって理想のコーヒーかを考えてみて欲しい。

村上萌ちゃんの言葉を引用しよう。

 

「人生のラテの「今の味」と理想の味」を知っていますか?

そのふたつを常に知っておくことが、カスタマイズの秘訣です。

変わりゆく世の中で、自分の「今の味」を楽しみながら、「理想の味」に向けて次々と目の前の素材をカスタマイズしていくこと —— それが昨日より美味しいラテを作ります。

自分の味を知ろうともせず、次々と新しいものや話題のものばかりを試していては、いつまで経っても自分が「美味しい」と感じることはできないし、かといって何もしなければ、ラテの味はどんどん古くなっていきます。

そう、変わりつつも美味しくあり続けるためには、常にカスタマイズしていく必要があるのです」

 

せっかく多様性の時代に生きているのだから、自分の周囲にあるすべてのモノやコトを、自分好みにカスタマイズしてしまえばいい!

 

「人生って意外とドラマティックじゃないと思うんです」

 

萌ちゃんはそう言っている。

だからこそ、放っておけば当たり前に過ぎ去ってしまう毎日の生活を、徹底的に自分好みにカスタマイズしよう。

日常生活の全部が「好き」「楽しい」「嬉しい」に囲まれれば、きっとあなたの日々は、今よりずっと楽しくなる。

 

 

 

目の前の時間にキャッチコピーを付ける

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たとえば朝。

朝は誰にでも毎日やってくる。日常の典型だ。

ギリギリまでベッドの中ですごして大慌てで出勤する。

それを毎日毎日、何年も繰り返す。

朝って、そんなに殺風景でつまらない時間だっけ?

 

 

そんな「朝」にキャッチコピーを付けるだけで、本当に自分が過ごしたい「朝」の姿が見えてくる。

たとえば「モーニングメニューを探しに行く、朝」。

たとえば「とりあえずテラスで食べてみる、朝」。

「自分はどんな朝が好きなんだろう?」と考えながらキャッチコピーを作ることで、ただの朝が「こんな朝にできたらいいなあ」に変わってくる。

 

 

そうしたら、その自分の「こんな朝がいいなあ」を実現できるアイテムを探しに出かけよう。

たとえば理想のコーヒー、ちょっといい塩やオイル、ランチョンマットなど。

次に、理想の朝ごはんをイメージして、その作り方を探して試してみる。

フレンチトーストがいいかな?ベーグルかな?それともエッグベネディクト??

 

 

今までは起きるのがイヤでぐずぐずしていた朝が、生まれ変わるのが分かるだろうか。

お気に入りのアイテムが自分を待っている。

前の夜から浸したフレンチトーストは、あとは焼くだけの状態になっている。

キャッチコピーを考えて、そのコピーを実践してみる。

 

 

「目の前のことがつまらないとしたら、そこには必ず、それをつまらなくしている自分がいます」。

 

萌ちゃんはそう言っている。

自分の生活を、人生を面白くするために、まずは楽しい時間をイメージすることを習慣にしてみよう。

 

 

 

自分のシーンにストーリーを作る

キャッチコピーが作れるようになったら、次はストーリーを作ってみよう。

昔学校で習った、5W1Hを使って自分のシーンにストーリーを作って行く。

萌ちゃんが幾つも例を挙げてくれているが、その中から一つ紹介しよう。

 

 

たとえば「一人の休日」という事実がある。

恋人やパートナーがいなくて寂しい、つまらない。そんな気持ちになって、ぼんやり過ごして一日が終了。

そんな一人の休日に、ストーリーを作ることで、「せっかく一人なんだから」とウキウキ楽しい一日に変えることができる。

When  <ひとりの休日> に、How <自転車に乗って> と Where  <パン屋さんへ行く> を追加する。

雑誌で紹介されていたパン屋さん?それとも友達がオススメしていたお店?候補はどんどん出てくる。

そしてお店が決まったら、どうやって行く?車?電車?歩き?

「いや、風が気持ちいいから自転車で行こう」というカスタマイズをする。

「すると、風が気持ちいいひとりの休日に、自転車に乗って、行ってみたかったパン屋さんへ行く」というストーリーができる。

ストーリーができたらそれをさっそく実践する。

すると、ただの「ひとりでつまらない休日」だった一日が、活き活きして楽しく、自分らしく生まれ変わるのだ。

 

 

5W1Hのカスタマイズのコツについても萌ちゃんがさまざまなアドバイスをしてくれているので、詳しくは本書を読んでみて欲しいのだが、ひとつだけ僕が特に好きなカスタマイズのコツを紹介しよう。

Whereのカスタマイズ。

初めて行く場所の楽しみ方として、「マストなWhere素材」を持っておくという提案。

マストなWhere素材とは、初めての場所に行ったら、必ず行く場所やお店を決めておく、というもの。

萌ちゃんの場合はスタバとパン屋さんだ。

初めて京都に行ったら、まずはその土地のスタバとパン屋さんを訪れる。

初めて札幌に行っても、やはり札幌のスタバとパン屋さんに行く。

「いつものアレ」を「いつもとは違う場所」でしてみると、違いも分かり、その土地の文化も感じやすいというわけだ。

 

 

僕の場合は何だろう。その土地土地の地元の居酒屋さんやレストランだろうか。

チェーン系ではない、地元密着のお店に入ることで、その土地の名産を味わい、そして地元の方達と交流することもできる。

知らない場所に行くと不安に感じることも多い。

放っておくとホテルに篭っていたり仕事場とホテルの往復だけだったりになりやすい。

ちょっとした「マスト」を持っていると、楽しみ方がぐっと広がるのだ。

 

 

 

変えられないものをカスタマイズする!

人生において変えられないものをカスタマイズする。

何をカスタマイズするのか、それは「過去」「環境」「他人」などだ。

それはつまり、自分自身の認識をカスタマイズすることを意味する。

 

 

萌ちゃんは自分自身の例として、大雨になってしまった屋久島新婚旅行の話やリーマンショック真っ最中だった就職活動などを挙げている。

 

雨という事実は変えられない。

せっかくの南の島で雨続き。その事実は変えられないが、「雨の屋久島は屋久杉の森が一番活き活きしている天気」という考え方ができる。

就職活動に失敗してOLにはなれなかったが、その代わり若くして起業をして、「ライフスタイルプロデューサー」という自ら作った肩書きで活動できるチャンスを得た。

起こった事実は一つでも、その事実をどう捉え、どう行動するかは本人のカスタマイズ次第。

すべての事実に僕たち人間は「認識」というタグをくっつけてカスタマイズしている。

どうせなら、自分の理想に向かうカスタマイズをしていこう。

それが萌ちゃんの提案だ。

 

 

 

まとめ

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付箋が縦横無尽についた。

 

 

ハッキリ言う。この本は口当たりが良さそうに作られているが、めちゃくちゃ熱い

そしてこの本にはものすごく強いメッセージが込められている。

その辺に転がっている自己啓発書よりもずっと熱いし、きちんとしたメッセージに溢れている。

 

 

「人生はそんなドラマティックじゃない」。

萌ちゃんはそう書いているが、彼女が提案している日常のちょっとしたカスタマイズはすごいパワーを持つ。

この本は「生活を良い習慣だけで埋め尽くそう」という、習慣化の本を、めちゃくちゃオシャレに、しかも簡単に、誰でもできる形に落とし込んでいる、凄い本なのだ。

「若くて可愛い女の子が書いたオシャレ本」と思ったら大間違い。

ゴリゴリの熱い想いをオブラートにキレイに包んでラッピングした、とても素敵な本だ。

44歳の男として、18歳も年下の萌ちゃんが書いたこの本に激しく衝撃を受けた。

「こんな提案があるのか」「こんなメッセージの届け方もできるのか」

 

 

多くの女性はこの本を自然に手に取ることがあるだろう。

もちろん女性の皆さんにも読んで欲しい。

でも僕は、敢えてこの本を、30代〜50代の男性に奨めたい。

人生の楽しみ方、いや、楽しい人生の作り方が分かっていないのは、男性、特にいわゆる中年と呼ばれる世代に多いと僕は感じている。

だからこそ、多くの男性が仏頂面でスタバで「コーヒー」と言うのではなく、「ダブルトールノンファットエキストラホットラテ」と笑顔で言えたりすると、世の中はもっとずっと楽しくなる。

そんな気がしている。

文句なし!超オススメの一冊!

男どもよ、書店に走れ!!(笑)

 

カスタマイズ・エブリデイ コーヒーは、ダブルトールノンファットエキストラホットラテ村上 萌 マガジンハウス 2013-09-26
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by ヨメレバ

 



 


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